多くの新卒が配属される営業職で身に付く、マーケに役立つスキルとは？

野崎：まさに事業会社でのマーケティングに携わる仕事であり、多くの方が目指すべきポジションではないでしょうか。どのようにして今に行き着いたのか、順に経歴の詳細を伺っていきます。新卒ではDNP（大日本印刷）に入社されていますが、当時はどのような就活の軸だったのですか？

内賀嶋：広告やPR、商品の販促に携われる業界を中心に就活をしていました。また、ファッションショーを企画運営するサークルに所属していたこともあり、アパレル業界も視野に入れていました。

野崎：販促やPRなど、すでに学生時代からマーケティング領域の仕事を志していたのですね。なぜその領域に興味を持ったのですか？

内賀嶋：元々はテレビやマスコミに興味があり、新しいニュースは東京に集まると思ったところから、大学入学を機に地元福岡から上京しました。大学では政治経済学部で学び、ゼミ専攻の際に消費者心理学に出会い、企業の「ものが売れる仕組み作り」にとても興味を持ちました。

　その中で様々な企業に対し幅広い領域で実績のあるDNPに入社することを決めました。

野崎：DNPではどんな仕事を担当されていたのでしょうか？

内賀嶋：営業職として主にコンビニエンスストアの販促に携わり、店頭ツール制作やキャンペーンの企画設計などを担当していました。営業ではありましたが、1年目ということもあって制作周りを動かすことが多く、企画に合った具体的な「モノ」に落としこんでいく作業がメインでした。

野崎：営業からキャリアがスタートしたんですね。このときの仕事で得たスキルで、今に活きているものはありますか？

内賀嶋：「各所と連携しながらものごとを推進する力」は今も活きています。社内外に問わず、様々なセクション、世代の方とやりとりすることが多かったので、巻き込み、調整する力は今も役に立っていると思います。

販売職では消費者の理解力を磨く

野崎：調整力はまさに大企業で得られるポータブルスキルですね。ただ、その環境を1年で飛び出しアパレルブランドを展開する三松（TIENS ecoute）に転職を決意したのはどのような経緯でしたか？

内賀嶋：就活時に選択肢として考えていたアパレル業界での仕事をやってみたかったからです。DNPでは一定のクライアントと向きあい、店頭販促の担当だったので、業務範囲や裁量の制限を感じていました。また受託会社なので、クライアント意向の反映も必須です。もう少し、自由度高く販促に関わりたいと思った点も大きかったです。

野崎：やや早いのですが、2年目にして第二新卒のカードを切って事業会社へ転身したわけですね。大企業は縦割りになりやすく、会社としては大きな事業ができても、個人としては意外と職域が絞られてしまうケースもありますよね。

内賀嶋：そうですね。その点も考慮し、アパレル企業かつ自由度が高く裁量が大きそうな企業を探し、三松に入社しました。

　入社後は新宿と本厚木の店舗で3年ほど販売職を経験しました。売上やお客様の動向を見ながら、ビジュアルマーチャンダイジング（視覚的に魅力のある売り場作り）を店舗主導でアレンジするなど、比較的自由度の高い仕事をさせていただきました。

　また店舗のSNSアカウントを運用したり、売上や在庫をもとに商品発注をしたりと、裁量権を持って自律的に動けました。

野崎：2社目では、どのようなスキルや経験が得られましたか。

内賀嶋：2社目では接客を通じて、お客様の心理や行動を推察する力が鍛えられました。エンドユーザーの反応がダイレクトにわかり、自身の接客1つで評判や売れ行きが左右されることもあるので、どんな局面でも対応できるスキルもここでさらに培われたと思います。また店舗を持つ良品計画に転職する上でも、2社目の店舗での経験は糧になっていると感じます。