Intrepid Travel - Woman’s Expedition
旅行先では現地の文化や生活様式を経験してみたいものですよね。一方で、国の文化や規制によって、男女混合のグループでは体験できないことがあるのも事実です。
Intrepid Travelでは「Woman’s Expedition」という、添乗員も旅行客も女性限定の現地ツアーを販売しています。

たとえば、インドでのツアーは、メトロの女性専用車両でオールドデリーに行き、伝統衣装で地元のマーケットを散策します。その後、タール砂漠の人里離れた砂丘では、現地古来の料理やダンスパフォーマンスを楽しみながら、美しい星空の下で夜を過ごします。ツアーは数日間の旅程となっており、女性ツアーガイドと一緒に、現地の女性文化をより深く経験できる、特別な内容となっています。
また本サービスの特徴は、アフリカ、中東、南アジアという、比較的ジェンダーギャップが大きいとされている地域で展開されていることです。観光業界における女性の雇用機会を守りつつも、女性が運営しているツアーだからこそ、それが参加者の豊かな時間や満足度にもつながるという、新たな観光ビジネスモデルとして注目がされています。
HAVAS社の調査によると、生活者は現地の文化体験にも興味があるのと同時に、自分たちの旅行が何かしらの形で、現地コミュニティーに還元されることを望んでいることがわかりました。

消費としての観光でなく、地域経済の活性化、伝統保護や環境保全につながるような、価値創造型の旅行に対してのニーズをどう取り込むかは、今後のブランディングでのポイントになるかもしれません。
NRMA Insurance - Sloways
キャラバンでのロードトリップが人気であるオーストラリアでは、キャラバンパーク(キャンピングカーやキャラバントレーラーが停泊できる敷地)に旅行者が宿泊することで、地方の経済を潤してきた側面がありました。ただ高速道路の発達とともに、旅行客が地方の街を訪れる機会が減り、経済的な交流だけでなく文化的な交流もまた薄れてきていることが問題視されていました。
そこで、保険会社であるNRMA Insuranceは「Sloways(ゆっくりとした道程)」というキャンペーンを実施しました。キャンペーンでは、1,400kmに及ぶ高速道路の道中にSlowaysと書かれた標識を配置し、近隣のローカルタウンへの道案内を図りました。また特設サイトでは、オーストラリアの各地での地方都市を周るキャラバン旅行のお勧めルートが公開され、利用者はサイト上でロードトリップの旅程を作成できる仕組みになっています。

結果として、Slowaysのプラットフォームを通して10万件を超える旅行プランが作成され、実際の地方都市への経済効果は約22億円にも及んだとされています。本キャンペーンは、キャラバン保険のプロモーションとして展開されたものですが、ゆっくりと自然を楽しみ、地方の文化に触れるという、本来のロードトリップの魅力が見直されるきっかけとなりました。まるでキャラバンカーの車窓から撮ったようなキャンペーンフィルムは、ゆったりと時間が流れるオーストラリアの田舎風景のなかで、キャラバントラベラーが得られる美しい瞬間を描いたものとなっており、こちらも大きな反響を得ました。
実際、生活者の意識を見てみると、ゆっくりと旅行をするというニーズが形成され始めていることが見受けられます。その根底には、アクティブに旅行を楽しみたい一方で、リラックスしたり、くつろいだりといった、旅行に対して癒やしを求めている側面も大きいことがわかります。

短期間に多くの観光名所をいかに効率的に周るかを目的とした旅行ではなく、「ゆっくりチルする旅」が今後多くなってくるかもしれないですね。