BtoB購買担当者の初回商談タイミングが遅くなっているワケ
2018年、コンサルティング企業のKORN FERRYがBtoB購買担当者を対象に実施したアンケートでは、初回商談を行うタイミングとして「ソリューションの評価」以降のステージを回答したのは44%でした。
ところが、2021年実施の同じ調査では、57%に増加。購買者側が検討プロセスを主導するという変化は急速に進んでいます。
このような変化が加速すると、ベンダー側にはどのような影響があるでしょうか? 具体的には、従来のようなアウトバウンド営業を行った場合、顧客の興味が顕在化する前の段階でアプローチしてしまうと「自分で調べるので」と断られてしまう可能性が高くなります。また、顧客からの問い合わせがあった場合は、購買検討がかなり進んでいる可能性が高いです。そのため、購買意欲に変化が生じる前に迅速に対応することが重要になってきます。
これらは、BtoB市場における購買者の変化と情報収集手段の変化が背景にあると考えられます。近年では、BtoBの購買者もミレニアルやZ世代といった若い世代になりました。インターネットやモバイルとともに生まれ育った彼らは、上の世代の購買者と比べてよりスムーズな体験を求めていると言われています。そのため、初回面談のタイミングにも表れているように、自分のペースで検討を進めることを好むのです。
営業担当を情報源とする人は約2割 BtoBでもコンテンツが重要に
では、BtoBの情報収集手段は具体的にどのように変化しているのでしょうか? 2021年にKORN FERRYが行った調査によると、BtoB購買者の情報収集源は回答の多い順に「専門家の意見」「業界のコミュニティ」「展示会」となっています。これは言い換えると、ベンダーの営業担当から情報を取る人が少なくなったことを示していると言えるでしょう。
これはこれまでと比較して、ベンダーに頼らない情報獲得の手段が発達したことが要因です。代表的なものとして業界や職種ごとのコミュニティが挙げられます。日本ではFacebookやX上のコミュニティ、加えて海外ではLinkedInやSlack上のコミュニティで活発に情報交換がされています。
また、利用者のコメントが集まるレビューサイトや比較サイトも広義のコミュニティとして挙げられるでしょう。2019年にDemand Gen Reportが海外のミレニアル世代を対象に実施した調査を見ると、購買の意思決定に役立つコンテンツの1位はレビューとされており、ウェビナーや事例集などのベンダー提供のコンテンツを上回っています。
このようなベンダーの管理下にないところで行われる情報収集は、ベンダーから見えないファネルという意味で「ダークファネル」と呼ばれています。次に、購買者の意思決定がダークファネル中心で進むことによる影響を見ていきます。