日本のインバウンドリードからの商談化率が低い三つの原因
ここまで見たように、近年日本でも顧客が自分で調査・問い合わせを行うようになり、企業によるインバウンドマーケティングへの投資が進むようになりました。では、これらの問い合わせや資料請求は一体どれだけ商談につながっているのでしょうか?
当社が2023年4月に発表した「インサイドセールス白書」では、問い合わせ後の商談化率が25%程度であることがわかっています。グローバルではインバウンドリードの商談化率は50%を超えるという報告もあるため、この水準には大きな隔たりがあります。

この大きな差には三つの要因があると考えています。一つ目は、日本とグローバルとのBtoBマーケティング手法の違いです。
現在、グローバルにおけるBtoBマーケティングのCV(コンバージョン)ポイントは、デモ依頼や見積もり依頼が中心です。それに対して日本では、資料請求が中心になっています。この背景の一つには法規制の差があると言われています。日本では、見込み客のメールアドレスや電話番号の購入が難しいです。そのため、まずはハウスリストを充実させることを優先させ、CVポイントを低いハードルに設定していることが多いようです。
日本の営業生産性を向上させるには?
二つ目が日本の営業生産性です。マッキンゼーが2021年2月に出したレポートを見ると、日本の労働生産性はOECD7ヵ国で最下位、営業コストに対する粗利額を示す営業生産性の率もグローバルと比較して劣っていることがわかります。この原因としては、日本ではセールスパーソンが営業活動に時間を使えていないことが要因だと言われています。

また、ただでさえ限られている営業時間が、無駄な電話や読まれないメールの送信、受注率が低いアウトバウンド商談に取られているとしたらどうでしょうか? 営業生産性の改善に向けては、これらの非営業活動の削減が必須でしょう。
その上で、営業活動自体の効率性改善も追及し、受注率の高いインバウンドリードを取りこぼすことなく商談化する動きが重要になります。
三つ目は、日本の営業組織体制の課題です。この部分に関しては本連載の主要テーマとして、次回以降の記事で詳細を解説します。
一見シンプルに見えるインバウンドリードの商談化ですが、受注につながる商談を安定的に作り出すために、やるべきことや意識すべき点はたくさんあります。本連載では第2回にはインバウンド商談を取りこぼす罠、第3回にはその解決方法を詳細に解説していきます。