シニアマーケティングも、モノ消費からコト消費へ
──最後に、これからのシニアマーケティングの在り方について、アドバイスをいただけますか。
安並:シニアマーケティングはとても難しく複雑です。シニア層の置かれている状況は一人ひとり本当に様々で、クラスター分析を行うにしても、年を重ねれば重ねるほど因子が多様化していくからです。たとえば、配偶者が健在な方もいれば、離別・死別してしまった方もいる。元気に動ける方もいれば、要介護の方もいるわけですよね。
国の定めによると、「65歳以上を高齢者」「65~74歳までを前期高齢者」「75歳以上を後期高齢者」とする区分がありますが、これはあくまで教科書的なものに過ぎません。マーケティングにおいては、テーマや目的に沿ってターゲットとなるシニア層のライフスタイルをしっかり捉え、ターゲットのインサイト・ニーズを丁寧に見ていく必要があると考えます。
清水:シニアマーケティングにおいては、不満・不安・不便の3つの不を解消することに重きが置かれてきました。マイナスをゼロにすることが、シニアビジネスにおけるポイントとなっていたと認識しています。どちらかと言うと「モノ消費」に寄っていたところもあるでしょう。
一方、新人類シニアにおいては、サブカルチャーなどを活用して付加価値をつけたり、遊び心を取り入れたりすることで、ゼロをプラスにしていくようなアプローチも可能になってくるはずです。シニアマーケティングでも、モノ消費的なマーケティングから、共感を促すコト消費的なマーケティングへのシフトが進んでいくのではないでしょうか。