「スマルナ」がオンラインコミュニティを運営するワケ
MZ:今年3月には、女性たちが恋愛や性、身体に関して気軽に話せるオンラインコミュニティ「25時のスマルナ」をローンチされました。これも本質的な課題解決を目指して始められた取り組みでしょうか?
石井:そうですね。コミュニティの目的は2つあります。一つは、医療者が提供できる情報とユーザーが求める情報のギャップを埋めること。
たとえば医療者は、ピルを服用した際の副作用について「こんな症状が何%の確率で出ます」というファクトまでしか言えません。しかし、初めてピルを飲む人が知りたいのは、その何%に自分が入ったときに生活にどう影響があるのか、といった話です。そこでピルを服用している先輩たちの実体験を共有することで、ユーザーが参考にできるように、コミュニティが必要だと考えました。
一般的なSNSでは質問したとしても、信頼できる回答か判断できないですよね。スマルナのコミュニティには医療従事者が参加していて、誤った情報のやり取りがあれば介入できる仕組みなので、ユーザーが安心して参加することができるのです。
もう一つの目的として、ユーザーイノベーションが起きることも期待しています。ユーザー同士が普段スマルナをどのように活用しているのか共有する中で、新しい活用方法があれば、それをサービスの改善に役立てていけると考えています。
スマルナが選ばれる続けるために
MZ:最後に、ネクイノおよびスマルナ事業の今後の展望をお聞かせください。
石井:スタートアップにしては珍しく、企業名とサービス名を分けているのは、ネクイノの思想を表現する一つがスマルナだからです。
スマルナは生物学的な女性の健康課題に寄り添うサービスです。現在は特に生理と避妊のテーマにフォーカスしていますが、今後はカバーできる年齢や疾患を拡大していきたいですね。
その上でネクイノでは、スマルナで得た知見を生かして、ユーザーの性別を問わない医療DXサービスの提供を目指します。その結果、単に「薬をネットで購入できて楽」といった利便性を超えて、日本の医療業界全体の取れ高になると思うんです。先ほども言った通り、我々は医療機関との懸け橋になることを目標にしています。スマルナを普段から使いこなすことで、ユーザーが無意識のうちに医療への理解を深め、賢い患者さんになってくれたらうれしいです。
また、これからはスマルナに近いサービスが次々と生まれる中で、ユーザーにどう選び続けてもらうかが重要です。消費者はアイデンティティやブランドの思想ではなく、もっと表面にあるクリエイティブを見てサービスを判断しますよね。その中でマーケティングチームが意識しているのは、「(ユーザーを)囲い込む」といった、消費者に対して上から目線なマーケティング用語は日ごろから使わないこと。そういった言葉の一つ一つが、サービスやクリエイティブに現れてくると考えています。
これからもユーザーに寄り添う信念を持って、日本の医療業界に貢献できたらいいですね。
