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MarkeZine Day 2024 Autumn(AD)

集まれメルマガ担当者!クリックされる件名を徹底検証してみた

 メルマガで成果を上げるにあたり、鍵を握る件名。担当者の関心が高いトピックではあるものの「どのような件名が効果的なのかわからない」「抽象的なTIPSが多く、業務に活かしづらい」という悩みも多いようだ。「MarkeZine Day 2024 Autumn」に登壇したシャノンの村尾氏と村野氏は、自社で実施したA/Bテストの結果を基に、効果的な件名の特徴や作成方法を解説した。本稿ではその内容をレポートする。

成功押し VS 失敗しない押し

 顧客に向けて、ほぼ毎日メールを送っているシャノン。マーケティング部の村野美咲氏は、様々な切り口で件名のA/Bテストを実施している。

シャノン マーケティング部 村野美咲氏
シャノン マーケティング部 村野美咲氏

 次の二つは、村野氏が展示会をテーマにしたウェビナーの集客を目的としたメールを配信する際、A/Bテストで使った件名だ。

A:展示会を成功させる10のポイント

B:展示会を失敗させない10のポイント

 村野氏は、ネガティブな件名のメールをクリックしがちな自身の経験を踏まえて、この二種の反応を比較した。一体どちらの件名を冠したメールが高いコンバージョン率を示したのだろうか?

 答えはBだ。Bの件名を冠したメールは、コンバージョン率がAより180%も高かったという。「何度追試をしても、同様の結果が見られた」と振り返る村野氏に、同社の村尾慶尚氏はこう続ける。

「注目すべきは、AとBのクリック率が変わらない点です。つまり、いずれの件名も受信者の関心を引いたと言えます。ただ『失敗したくない』という受信者の気持ちが『成功したい』という感情よりも強く働いたため、コンバージョン率に差が生まれたのではないでしょうか」(村尾氏)

シャノン マーケティング部 部長 村尾慶尚氏
シャノン マーケティング部 部長 村尾慶尚氏

短い件名は取り扱い注意!

 成功訴求と失敗しない訴求では後者に軍配が上がった。では、長い件名と短い件名ではどちらがクリックされやすいのか。村野氏は再びA/Bテストに使った件名を提示する。

A:【たぶんあんまり気づかれていない】細かすぎるウェビナー改善のこだわりとは?

B:細かすぎて伝わらないウェビナー改善選手権

 件名の長短でA/Bテストを実施したところ、短いタイトル(B)のクリック率が長いタイトル(A)より146%高かったという。村尾氏は「SNSやWebの記事でも、短いタイトルのほうが読まれやすい」と語り、この結果に納得する。

 しかし「短い件名をつける際は注意が必要」と村野氏。読み手を惹きつけやすいということは、表現次第で嫌な感情を増幅させる可能性もあるためだ。実際、次の件名でA/Bテストを実施した際は、長いタイトル(A)のほうが高いクリック率を示し、停止率も低かったという。

A:限られた予算から集客を増やす!打ち手を広げるリード獲得施策とは

B:限られた予算から集客を増やす方法とは

 AもBも「限られた予算」という言葉から始まっているものの、短いBのほうが受信者の嫌な気持ちを増幅させてしまったのかもしれない。「短い件名は効果的であるが故に、取り扱いには注意が必要」と村野氏は強調する。

企業名押しの落とし穴

 他社との共催セミナーを実施する際、集客メールの件名に企業名を含めると、好反応を得られることが多い。シャノンが幻冬舎グループとセミナーを共催した際に、村野氏は次の2種で件名のA/Bテストを行ったそうだ。

A:出版社が解説『オウンドメディアがなかなか成功しない理由』

B:幻冬舎グループが解説『オウンドメディアがなかなか成功しない理由』

 テストの結果、企業名を含んだBのほうが、クリック率が121%高かった。ただし「企業を含めさえすれば高い効果が期待できるわけではない」と村野氏。

「過去に、弊社の社名を含めた件名と、含めない件名でA/Bテストを実施したところ、含めない件名のほうが高いクリック率を示しました。知名度やブランド力のある企業名には、受け手の関心を引く効果があります」(村野氏)

 メールの件名で人気が高いフォーマットと言えば「ランキング」だろう。ランキングとは、自社ブログの人気記事トップ3を訴求するような件名を指す。シャノンでもたびたびこのフォーマットを活用し、平均値よりも高いクリック率を出しているという。

 村野氏は、ランキングのフォーマットを用いた件名でもA/Bテストを実施。次の2パターンでクリック率を検証した。

A:3位「マーケターとは」、2位「おすすめ資格」、そして1位は?上半期もっとも読まれたブログ記事をご紹介

B:2022年上半期にもっとも読まれた記事は?「シャノンのブログ」年間ランキングTOP3

 テストの結果、ランキング1位を伏せたAの件名が高いクリック率を示したそうだ。

CTRもCVRも高い「ベストセラー型」の特徴

 週に2、3回配信しているメールマガジンのほか、セグメントメールを届ける中で、効果的な件名に共通する特徴が掴めたという。特徴を紹介するために、村野氏は次の4象限マトリクスを紹介する。

 クリック率もコンバージョン率も高い「ベストセラー型」の特徴を見ればわかるとおり、鍵となるのは「訴求」と「表現」だ。ターゲットの状況や課題から件名で訴求する内容を考え、その内容を文字数や語彙に考慮しながら表現する。この順番で件名を作成することを村野氏は薦める。

ターゲットの課題に即した訴求内容の例

 ターゲットにマッチした訴求内容と表現とは、具体的にどのようなものか? 村野氏は自社で開催した「資料請求のコンバージョン改善ウェビナー」の集客メールを例に挙げる。

 本セミナーのターゲット「資料請求のコンバージョン率を改善するためのアイデアが枯渇しているマーケティング担当者」に刺さる訴求内容は次のうちどれか。村野氏は再びクイズ形式で参加者に問いかける。

A:資料請求CVを改善するベストプラクティス

B:資料請求CVを改善する55のアイデア

 正解はBだ。シャノンの過去の実績によると、Bはクリック率もコンバージョン率も高い、つまりベストセラー型の訴求内容だったという。村野氏は「ターゲットが抱える『アイデアの枯渇』という課題に、Bの訴求内容が即している」と考察する。

 では「資料請求CVを改善する55のアイデア」の前に、アイキャッチとなる表現を追加するなら、次のAとBのどちらがベストセラー型と言えるだろう。

A:8月に取り組みたい!(季節性を打ち出す)

B:【昨年比3.3倍も】(冒頭に印象的な数字)

 こちらも正解はBだ。村野氏は「Bのほうがターゲットの課題解決につながる表現になっている」と理由を述べる。

「Aのように、季節性を打ち出す表現自体がNGなわけではありません。ターゲットの課題や状況が季節性に関係する場合は、Aのほうが好ましい場合もあります」(村尾氏)

生成AI×MAで効果的なメルマガ配信を

 ターゲットの課題からメールの件名で訴求する内容を定め、訴求内容に即した表現を選び取ること対し、難易度が高いと感じる人も多いのではないか。そのような悩みに対し、村野氏は次のようにコメントする。

「これまでは頭と時間を使ってアイデアを一生懸命捻り出すしかありませんでしたが、最近はChatGPTやCopilotなどの生成AIを活用して、アイデア出しやパターンの量産を効率的に進めることができます」(村野氏)

 シャノンでは、ターゲットの状況や課題、メールで誘導するLPの文章を入力すると、件名の訴求内容が出力されるプロンプトを用意している。また、量産がモノを言う表現についても、シャノンが自社の知見を基にまとめた「パターン集」があるそうだ。

 効果的なメール配信を実現するためには、件名の工夫に加えてターゲティングも欠かせない。「件名の効果を最大化したい方には、シャノンが提供するマーケティングオートメーションツールを検討いただきたい」と村尾氏は話す。

 最後に両名は「本日の内容が、日常的にメール配信を行うBtoBマーケティング担当者の皆様にとって、少しでも有益なものになれば幸いです」と語り、セッションを締めくくった。

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社シャノン

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2024/11/05 10:30 https://markezine.jp/article/detail/47019