成功押し VS 失敗しない押し
顧客に向けて、ほぼ毎日メールを送っているシャノン。マーケティング部の村野美咲氏は、様々な切り口で件名のA/Bテストを実施している。
次の二つは、村野氏が展示会をテーマにしたウェビナーの集客を目的としたメールを配信する際、A/Bテストで使った件名だ。
A:展示会を成功させる10のポイント
B:展示会を失敗させない10のポイント
村野氏は、ネガティブな件名のメールをクリックしがちな自身の経験を踏まえて、この二種の反応を比較した。一体どちらの件名を冠したメールが高いコンバージョン率を示したのだろうか?
答えはBだ。Bの件名を冠したメールは、コンバージョン率がAより180%も高かったという。「何度追試をしても、同様の結果が見られた」と振り返る村野氏に、同社の村尾慶尚氏はこう続ける。
「注目すべきは、AとBのクリック率が変わらない点です。つまり、いずれの件名も受信者の関心を引いたと言えます。ただ『失敗したくない』という受信者の気持ちが『成功したい』という感情よりも強く働いたため、コンバージョン率に差が生まれたのではないでしょうか」(村尾氏)
短い件名は取り扱い注意!
成功訴求と失敗しない訴求では後者に軍配が上がった。では、長い件名と短い件名ではどちらがクリックされやすいのか。村野氏は再びA/Bテストに使った件名を提示する。
A:【たぶんあんまり気づかれていない】細かすぎるウェビナー改善のこだわりとは?
B:細かすぎて伝わらないウェビナー改善選手権
件名の長短でA/Bテストを実施したところ、短いタイトル(B)のクリック率が長いタイトル(A)より146%高かったという。村尾氏は「SNSやWebの記事でも、短いタイトルのほうが読まれやすい」と語り、この結果に納得する。
しかし「短い件名をつける際は注意が必要」と村野氏。読み手を惹きつけやすいということは、表現次第で嫌な感情を増幅させる可能性もあるためだ。実際、次の件名でA/Bテストを実施した際は、長いタイトル(A)のほうが高いクリック率を示し、停止率も低かったという。
A:限られた予算から集客を増やす!打ち手を広げるリード獲得施策とは
B:限られた予算から集客を増やす方法とは
AもBも「限られた予算」という言葉から始まっているものの、短いBのほうが受信者の嫌な気持ちを増幅させてしまったのかもしれない。「短い件名は効果的であるが故に、取り扱いには注意が必要」と村野氏は強調する。