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MarkeZine Day 2024 Autumn

苦労なくしてイノベーションは生まれない 「未来のレモンサワー」開発~プロモーションの全体像

特に効果を実感した屋外広告

 生活者にワクワクしてもらうために苦労してきた商品開発も、届かなければ水の泡になってしまう。手間と時間をかけて生み出した未来のレモンサワーを新たなヒット商品とするべく、西村氏は話題の最大化に努めた。

 商品のキャッチーさが話題を呼び、2023年末には日経トレンディ「2024年ヒット予測ベスト10」の第2位 に未来のレモンサワーがランクイン。発売前のメディア露出に成功した。ただし、メディア露出から正式発売まで期間が空いてしまうため、再び注目を集めるべく、発売直前に様々な販促活動を実行した。

 具体的には、渋谷で有料の試飲イベントを開催。あわせて近隣の渋谷横丁や体験型ストアのb8ta Tokyoを、未来のレモンサワーの広告でジャックした。「飲食店だけでなく、あえてb8ta Tokyoにも広告を掲出したことで、若年層やガジェット好きにリーチできた」と西村氏は振り返る。

 インフルエンサーの起用や人気テレビ番組での露出など、王道のPRも実施したが、西村氏が特に効果を実感したのは中吊りやOOHなどの屋外広告だったという。

「お客様に『どこでこの商品を知りましたか』とインタビューすると、テレビよりも『屋外の広告で知りました』と回答する方が多い印象でした。海外では昨今、テレビCMよりもデジタル広告やOOHの価値が高まりつつあるため、日本にもいずれはそのような時代が訪れるのではないかと思っています」(西村氏)

お酒を飲まない人の興味も喚起できた

 Xで数多くポストされたことにより「未来のレモンサワー」はトレンド入りを果たした。自社調べのブランド認知度は、立ち上がり1週間で従来最高値を叩き出したという。

 若年層を中心に“アルコール離れ”が加速する昨今。西村氏は今回のヒットを受け「我々が新しい取り組みを止めなければ、お酒から離れていた人も再び戻ってきてくれるのではないか」と語る。

「私の同僚の家族が、まさに飲酒習慣を持たない20代でした。その子が『未来のレモンサワーを飲んでみたい』と話してくれたそうです。飲酒に馴染みのない生活者にも『1回は飲んでみようかな』と思ってもらえる商品がつくれたことは、非常に意義深いと感じています」(西村氏)

 生活者にあまり目を向けられなかった過去の反省から、マーケティング改革を経て進化したアサヒビール。普段お酒を飲まない生活者さえもワクワクさせることができた。これは単純な売上だけにとどまらない、大きな成功と言えるだろう。西村氏は「今回の成功体験を次につなげて、これからも新しいことに挑戦していきたい」と展望を語り、セッションを締めくくった。

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この記事の著者

宮野 圭(ミヤノ ケイ)

コンサルティングファームにてデータアナリティクスを通じた業務改革に従事する傍ら、ライターとしても活動。エンタメ領域やテクノロジー領域のメディアにて執筆経験あり。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/11/28 09:00 https://markezine.jp/article/detail/47020

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