打ち手を考える前に、市場のゲームルールを理解せよ
そもそも、エビデンスベーストマーケティングとは何か――ひとことで言うと「根拠のあるマーケティング」という意味合いになるが、ポイントは「根拠」の部分にある。
ここで言う根拠とは「国が異なっても、カテゴリーが異なっても、時代背景が違っても、別の研究者がデータを取り直しても、異なる状況下で何度も繰り返されるパターンや規則性」を指す。それらを理解して事業成長に活かしていこうというのが、エビデンスベーストマーケティングにおける基本の考え方だ。
芹澤氏の著書『戦略ごっこ』は、それらのエビデンスを徹底的に集め、一般のマーケターにも理解できるようかみ砕いて解説を加えたもの。マーケティングの界隈で「通説」「定石」とされている理論・フレームワークとは大きく異なる主張もあるため、拒否反応を示す人もいるようだ。
そんな『戦略ごっこ』の内容を踏まえつつ、芹澤氏の直近の研究結果もシェアする形で行われたMarkeZine Dayでの講演、芹澤氏は冒頭で「マーケティングにおいて何が変数で、何が定数かを整理する」という講演のテーマを提示した。
戦略を立案する際は「何をやるか/やらないか」を決めるだけでなく、「何ができるか/できないか」を区別することが大切になる。なぜなら、市場や消費者行動には、「(マーケティングで)変えられること(変数)」と「変えられないこと(定数)」があるからだ。
「マーケティングが戦略ごっこになる原因は、“変えられないこと”を“マーケで変えよう”と頑張ってしまうことにあったりします。消費者のブランド選択やロイヤルティには一定の規則性(ルール)がありますから、打ち手を考える前に、まずはゲームのルールを理解しなければならないのです。では、手始めに簡単なところから始めましょう。売上は定数でしょうか、それとも変数でしょうか?」(芹澤氏)