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「スタサプENGLISH」のCM開発に学ぶ!調査ドリブンと面白さを両立したクリエイティブを導くマーケターになるには

効果的なCMクリエイティブ制作のために、マーケターが実践すべき「5つの思考法」と「2つのスタンス」

なぜ「歌もの」CMにチャレンジしたのか?

MZ:「歌もの」CMにした理由は、何だったのでしょうか?

奥田:「スタサプENGLISH」のCMシリーズを一通りやってきて行き着いたのが、今回のCMです。5年前にはまだ「大人向けの学習アプリ」は一般的ではありませんでした。当時はプロダクトとしての新しさを打ち出すことを最優先しましたが、それは中身にフォーカスすべきフェーズだったからです。そこから、世の中の学習アプリに対する認識が追いついてきたタイミングと、ブランド自体の浸透度が深化したことで、CMにも色々なバリエーションが必要になってくるフェーズに入りました。

 そうした試みの一発目は、タレントを起用したストーリー仕立てのクリエイティブでした。その時のコンセプトは、ストーリーとキャスティングの両軸で攻めること。そう決断した理由は、「スタサプENGLISH」がストーリー学習を大切にしていたからです。つまり、そのクリエイティブは、プロダクトの中身を伝えやすい演出手法でもあったんですね。

 そこからコミュニケーションアイデアとしてもう一段階幅を出し、かつ学習領域として信頼感を担保しながらより印象に残るものを、ということででき上がったのが今回の「歌もの」のCMでした。

CMクリエイティブの仮説を導出する「2つのスタンス」

MZ:冒頭に、クリエイティブの表現やその仮説を考える5つの思考法をご紹介いただきました。その他に意識されている点はありますか?

奥田:5つの思考法が「考える際のスキル」だとすれば、以下の下2つが「考えを実行に移す際のスタンス」になります。

奥田:その一つ目が「脱・作り手バイアス」です。当たり前ですがCMに限らず、あらゆるコミュニケーションにおいて相手目線で伝わることが大切です。そのためには、繰り返し相手目線で検証を重ねていくことが必要です。それは自問自答であったり、調査検証であったり、実放映の結果であったりしますが、構造は同じです。

 仮説は誰かの頭の中からしか生まれない構造上、仮説を思いついた瞬間はどうやっても「作り手のバイアス」がかかっているもの。特に議論に熱中している時は、いくら相手目線で考えようとしていたとしても、「ターゲットにきちんと伝わるか」を検証することが不可欠です。

 もう一つの「常にThink Again」、何度も再考し続けることを大事にしているのは、人が見通せる範囲には限界があると私自身が感じるからです。企画から演出に、演出から撮影に、撮影から編集に、と各フェーズがあるのですが、企画コンテ時点での狙いも、撮影の段階になって「意外と伝わらないかもしれない」と感じることは十分起き得ます。企画コンテ時点で、撮影時のリアリティを持って検討することは不可能です。

 もしそのズレに気づいた場合は、その場で伝えてみる。それがたとえ企画の骨子を揺るがす発言だったとしても、常にゼロベースで場に出してみる心構えが大切です。最初は驚かれるかもしれませんが、チームで話していくうちに、微修正で解決できる妙案が出てくるものです。

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この記事の著者

三ツ石 健太郎(ミツイシ ケンタロウ)

早稲田大学政治経済学部を2000年に卒業。印刷会社の営業、世界一周の放浪、編集プロダクション勤務などを経て、2015年よりフリーランスのライターに。マーケティング・広告・宣伝・販促の専門誌を中心に数多くの執筆をおこなう。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/11/27 08:00 https://markezine.jp/article/detail/47170

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