アートネイチャーの「サロン」を強みに、顧客との関係性を深める
安成:今後、顧客体験をより一層アップデートしていくため、dentsu Japanとしてどのようにお考えですか。
竹下:アートネイチャー社の最も重要なお客様との接点の一つが、全国にある「サロン」です。その価値を感じてくれているお客様と、末長くお付き合いしていくためのサポートをしていきたいですね。
これまでは、データ連携が適切に行えていなかったことで、「広告で集客すること」と「サロンでお客様と向き合うこと」が業務として分断された状態でした。それぞれの領域で、部分最適にならざるを得なかったのです。データ連携を実現することによって、長期的な視点で一人ひとりのお客様と向き合い、お届けするメッセージを最適化できると思います。
たとえば、購入を迷っており背中を押して欲しい人には後押しする広告やポップアップを出し、購入のタイミングではない人ともつながり続けてホットになった時に備えておく。ECで商品をお買い上げくださったお客様がサロンに来店した際に、ひとことお礼をお伝えする。データ基盤が整備されれば、このようなお客様それぞれの状況に沿った関係構築が可能となります。お客様視点でも、きっとアートネイチャーとの心地よいお付き合いにつながります。
顧客体験の設計から施策まで、伴走して“やり切る”
安成:最後に、これからチャレンジしていきたいことを教えてください。
小野:現在、データ基盤の構築を進めていますが、その先で実現したいのは生成AIの活用です。現在は、AIがお客様の悩みに回答する「HAIRの部屋」というサービスをWeb上で提供しています。本サービスは、お客様が相談しやすい環境を作りながらその内容を蓄積し、マーケティング施策への活用につなげています。
今後は「HAIRの部屋」で蓄積した生の声を元に、よりお客様一人ひとりに寄り添った最適な商品提案を、アートネイチャーの技術力を活かして実現できるようにしたいですね。dentsu Japanには引き続き、環境構築から顧客体験・戦略設計まで、伴走支援してもらえたらと思います。
須田:まずはデータ基盤の整備によって、データを統合して適切に分析できるようにしていきます。また、それを今後に活かすには人材育成も欠かせません。DX人材を育成、活用していく面でも、引き続きdentsu Japanの支援に期待しています。
現状、店舗における1to1マーケティングはデータで可視化されておらず、感覚を頼りにしてリピート契約を取る傾向にあります。これからは、お客様にとってノイズにならない形で商品を提案でき、心地よい体験を提供するサロン作りが事業成長のために必要です。データを活用し、そのような取り組みも進めていきたいと思います。
当广:データ基盤には様々なデータを取り込んでいく必要がありますが、むやみにデータを取るのではなく、システムを使う人の要望に添って整備していくことが大切です。新しいシステムを導入するだけでなく定着させ、現場の皆さんに使い続けてもらう・使いこなしてもらうための伴走支援を続けていきます。
竹下:生活者の価値観が変化する中で、アートネイチャー社がどのように顧客と関係を築き、価値を提供していくか、その方法も変わっていくと思います。状況に応じた適切な顧客体験を設計し、施策実行までやり切る伴走支援を続けていきたいですね。
アートネイチャー社の取り組みのように、データ基盤を作る人材と顧客体験を設計する人材が密に連携した支援を提供できることは、dentsu Japanの大きな強みです。これからもグループを挙げて、クライアント企業、そしてその先の生活者の方々に価値を提供していきたいです。
安成:お取り組みのこれからに期待が膨らみます。本日はありがとうございました。