欲求を満たす「まとまった検索結果」 ただし役に立たないケースも
画面上の表示されている地球儀マークを押して、ChatGPT searchを実行してみる。
すると、以下のようなまとまったレポートが出てきた(日本時間11月3日の結果)。
このレポートがあれば問題ないと思うほどに、自分の検索に根底にある「佐々木麟太郎選手の最新動向が知りたい」という当初の欲求がほぼ満たされる結果となった。
このように非常に便利なChatGPT searchであるが、あまり役に立たない例もある。先ほどの「もり川」「本郷」を入れてみよう。そうすると食堂もり川に関して豊富な情報が出てくるのであるが、一般的な検索では出てきた情報、たとえば「電話番号」は現状出てこないのである。もちろん検索に使うワードは、モデルは常にアップデートしているので今後改良されることも考えられる。
現状では、いずれの検索でも、検索する目的によって得られる結果の精度が異なる。そのため、ユーザーは自身の目的に沿って検索方法を使い分けるようになると考えるのが自然だろう。ただし、ChatGPT searchへの進化において着目すべきはその精度だけでない。
生成AIは優秀な新人 参照元の表示でメディアとの関係回復へ
筆者が事業顧問を務める東京大学松尾研究所発ベンチャー企業、Almondo社の伊藤社長は生成AIを「優秀な新入社員」と言い表すことが多い。その表現を借りると、今回リリースされたChatGPT searchは優秀な新人に「XXに関してWebの最新情報を検索してそれをレポートにまとめて来てくれ」と言っているようなものではないだろうか。新人が検索したものであるので、間違いやもっともらしい噓(Hallucination)がないかはチェックしなければならないだろう。
OpenAIもその点は理解しており、ChatGPT searchでは画期的な策を採った。未学習の最新情報などは根拠を示す参照元の情報を加えたのである。次の画像のように参照元の上にカーソルを乗せると参照元の記事内容の一部が出てくる。これは間違いのチェックであると同時に、OpenAIがこれまで直面してきたメディアおよび著作権者との大人の事情を解消する動きにもなっていると考えられる。
そもそもOpenAIとメディアの間には訴訟の歴史がある。生成AIは深層学習をするために膨大なデータを必要としており、その多くはインターネット上にあるものを利用している。従ってメディアや著作権者と争いになっているケースも存在しているのだ。
2024年11月現在、訴訟は継続中であり、最終的な判決や和解には至っていない。この訴訟は、AIモデルのトレーニングにおける著作権の取り扱いに関する重要な前例となる可能性があり、今後の動向が注目されており、筆者もフォローするつもりである。