OOHが抱えていた課題を乗り越える、プランニングと効果検証
──インパクトのある広告を展開できるという従来の強みに加えて、ターゲティングや効果検証も可能になってきているのですね。御社のDOOHでどういったプランニングが実現できるのか、活用事例を紹介いただけますか。
当社は現在全国に64,500以上のスクリーンを持ち、繁華街や駅構内、ビルなどに設置されています。そのMAUは約3,000万MAUに上ります。
当社のDOOHの基盤となっているのが、NTTドコモのビッグデータです。データクリーンルームに、NTTドコモ回線の契約者のデータやWi-Fiデータ、位置情報やアンケート情報、d払いの決済データなどが蓄積されており、これを軸にプランニングしています。
たとえば、「20代の男女で映画好き」というターゲット像があった場合、NTTドコモのデータからセグメントします。ターゲット含有率の高いスクリーンをランキング形式で抽出し、さらにその中でも含有率の高い時間帯の配信を提案する形になります。
また、広告代理店のデータと掛け合わせた活用も可能です。デジタルやテレビとDOOHを組み合わせて出稿する際にも、それぞれに適切なプランニングを実行できます。
たとえば、TVerやABEMA、テレビなどは、18時以降にMAUが上昇します。同じ時間にDOOHで当てても意味がありません。当社では、同じターゲットで、デジタルやテレビが優位の時間帯とDOOHが優位の時間帯を分析してグラフ化することで、最適な時間帯を選択できるようにしています。
──なるほど。その他、DOOHならではの活用方法はありますか?
天気や気温と連動した「ウェザーターゲティング」は、興味を持って利用される企業が多いですね。暑いときと寒いときでクリエイティブを出し分けて、効果を高める配信手法です。
たとえば、エアコンに対する好意度は暑いときのほうが高まります。逆に鍋料理のクリエイティブは気温10度以下のときのみに出すなど、最もエンゲージメントが高めやすいタイミングを狙えるのです。
──DOOHは効果検証できることが強みであり、市場の期待感があるとおっしゃっていました。どのような効果検証が可能なのか教えてください。
国際基準である「VAC(Visibility Adjusted Contact)」を1インプレッションとして計測しています(※)。ある時間帯にスクリーンの前にいたオーディエンスのうち、広告を見たと想定できる人の割合を算出したものです。
(※)OOHの広告効果計測には4つの階層があり、1→4に上がるにつれてより詳細な計測階層となる。LIVEBOARDが採用しているのは4のVAC。
- サーキュレーション:媒体の近くにいるオーディエンス
- OTS(Opportunity to See):視認エリアにいるオーディエンス
- OTC(Opportunity to Contact):視認エリアにいて、進行方向・障害物の有無関係なく媒体を見ることができるオーディエンス
- VAC(Visibility Adjusted Contact):OTCのうち広告を見たと想定できる確率(視認率)をかけて調整したオーディエンス
その上で、当社ではアスキング調査とログ検証によって効果を検証しています。従来のOOHでアスキング調査をする際、広告出稿が終わってからモニターにアンケートを送付します。しかし生活者は先週その時間に自分がどこにいたのか正確に覚えていないので、ノイズが出やすいという課題がありました。
当社の場合、NTTドコモの位置情報データなどに基づき、スクリーンの近くにいたことが明らかな人だけにアンケートを送付するので、正確な効果が見えやすくなります。また、たとえばウェザーターゲティングの結果、どの気温で当たった人の効果が高かったのかまでしっかり算出できます。
次に、ログ検証はログ(ID)ベースで効果を分析する方法です。DOOHに接触した方が、実際にどれくらい来店したか、アプリをダウンロードしたかといった定量的な効果を可視化できます。これもNTTドコモのデータが基盤にあるからこそ、分析が可能になっています。
たとえば「広告の放映タイミングでスクリーンの前にいた人」と「商品をd払いで購入した人」のデータを突合することで、広告効果を捕捉できるのです。
