※本記事は、2024年12月刊行の『MarkeZine』(雑誌)108号に掲載したものです
【特集】2025年・広告の出し先
─ 【広告業界予測 2025年】激変する業界地図の中で勝ち残るために
─ 進化が著しいリテールメディア領域、今後は「デジタル広告 with リテールデータ」がトレンドに?
─ 「Plan」と「Check」の高度化が進むテレビ広告 露出量だけではない価値にも目を向けよ
─ DOOHは「屋外のデジタル広告」になる。5%の壁を突破する、プランニング&効果検証の進化
─ 【縦型ショート動画、AI活用がトレンド】分散・多様化するソーシャルメディア
─ 学生を中心に拡大中の「BeReal」、マーケティング観点からの媒体解説(本記事)
日本でのMAUは450万人を突破
──はじめに「BeReal」とはどういったSNSなのか、基本的な解説をお願いできますか。
BeRealは2020年に登場したフランス発のSNSアプリです。特徴は、名前のとおり“リアルな”コミュニケーションをする場であるということ。InstagramやFacebook、LINEなどの対話型SNSアプリが生活に浸透し、私たちはSNS上で人とつながることや、“映え”を意識することに疲れを感じるようになってきました。
そうした状況を鑑みて、「現在の若年層はもっとリアルでクローズドなコミュニケーションを求めているのでは」と開発されたのがBeRealです。
また、BeReal公式の情報によると、ユーザー層の約7割が18〜27歳のZ世代とされています。日本でもユーザーの97%がZ世代ですが、Z世代と一口に言っても年齢層は比較的低めで、10代〜20代前半の学生が大半を占めています。2024年時点の日本のMAUは約450万人とされており(2024年12月時点)、東京など流行に敏感な都市部から利用が拡大しています。
マーケティング的にはリサーチが難しいという課題が
──BeRealは、リアルにつながっている友人の相互フォロワー同士で楽しむアプリのため、BeReal上に友達がいないとほとんど使えません。そのため、存在は知っているものの、実際どのようなやり取りが交わされるアプリなのかは知らない読者が多いだろうと思います。
そうですよね。それも大きな特徴で、本当にリアルでつながりのある人同士でないとBeReal上でつながることは基本的にありません。電話番号での同期は可能ですが、BeRealで友達になるときは承認が必要なので、やり取りは非常にクローズドです。一般的なSNSでたとえると、アカウントに常に鍵がついているような状態ですね。
もう1つ、これはよく言及される特徴ですが、通知が来たら2分以内に写真を撮って投稿しなければいけないというルールもあります。2分しか時間がないので、映えを狙って何枚も写真を撮ったり、加工を施したりする余裕がありません。
加えて、何回か写真を撮り直すと「〇回の再撮影」と表示が出るので、撮り直していることがばれてしまうんです。さらに、撮った写真の左上にワイプがあり、そこにはスマホのインカメラで撮影された写真・動画が表示される仕様になっているため、盛ったり飾ったりしようとしている姿も一緒に投稿されてしまいます。
SNSは自分で実際に使ってみて初めて、その世界観やインサイトを理解することができます。その点、BeRealは相手(友達)がいないと使うことすらできないので、マーケターとしてはリサーチが難しいという課題があります。その意味では、自分の常識を取っ払わないと、なかなか理解するのは難しいSNSだと言えるでしょう。