チーム内でもチーム間でもみんなで考え実行する
――目的をぶらさずにSNSやオウンドメディア運用を続けるために、どのような工夫をされていますか。
チームビルディングを重視しています。当社は「チームで働く」という意識が強く、よなよな編集部では戦略の策定時点から全員で話し合って決めていきます。
戦略を立てる際は時間がかかりますが、長期的に見ると、全員で決めた方が運用しやすいと感じています。みんなで考えた戦略だからこそ、ぶれずに実行できているのだと思います。
また、チーム内だけでなくチーム間で連携した取り組みも行っています。たとえば、忘年会シーズンのお酒の飲みすぎに気を付けてもらうために、アルコール度数0.7%のIPA「正気のサタン」で「#年末寝過ごし防止運動」という、プロモーションを実施しました。
首都圏の中で「寝過ごしてしまった」というSNSの投稿が多い終着駅に、寝過ごし防止ポスターを掲示するというものです。このプロジェクトでは、ブランドチームやプロモーションチーム、よなよな編集部、広報チームなどのメンバーがアイデアを出し合って施策を行いました。
他社やファンとの「共創」により注力していく
――ユーザーの声は、どのように活用されているのでしょうか。
ファンの方の声(コメント・DM・UGC)も非常に大切にしています。自分たちでエゴサーチを行い、ユーザーとコミュニケーションを取ることもあります。私たちから新しい提案をしても、思ったような反応をいただけないことも多いです。一方で、既にユーザー間で行われていることに参加させていただくと、良い反応をいただくことが多いです。そのため、定期的にSNS上の声を確認するようにしています。
――ファンの声を大切に、ヤッホーさんらしいコンテンツを展開し、新たなファン候補にも届けていく姿勢がとても参考になりました。本日はありがとうございました。
ここに注目!ヤッホーブルーイング流SNS活用のポイント
ヤッホーブルーイングさんは、SNSの運用を内製されている企業の一つです。「よなよな編集部」が、投稿の企画から制作までを一貫して担当することで、「ヤッホーらしさ」を徹底的に追求した発信を実現しています。
また、インハウスだからこそ、会社の状況や時代の流れを踏まえ、柔軟にSNS戦略を変化させている点も特徴的です。その柔軟さはKPI設計にも表れており、数値だけでなく「100人に1人に刺さる」質的な評価を重視し、ファンとの深い関係構築を図っています。
自社のSNS運用を見直す際、「内製」と「外注」や「数字」と「自社らしさ」のバランスに悩む企業は多いでしょう。ヤッホーブルーイングさんの事例は、明確な価値観を持ち、それを内製の運用でこだわりぬく姿勢が、結果として数字にもつながることを示唆しています。