電通グループは、12月4日、世界56市場から収集したデータに基づき、「世界の広告費成長率予測」の最新値を発表した。同予測は、基本的に毎年2回改定を行っており、今回は2024年、2025年、2026年予測の更新と2027年の新規で予測した。

2024年の世界の広告費成長率は6.8％を予測、1.8pt上方修正

　2024年の世界の広告費成長率予測では、前回2024年5月発表予測から1.8pt上方修正し6.8％となり、市場規模は7,724億米ドル（約116兆円）の見通しとなった。上方修正の主な要因は、主要市場である米国、英国、フランス、ブラジルにおける広告費支出の見通しが改善されたことが挙げられる。

　また、デジタル広告は、10.7pt増と二桁成長に回帰。全体に占める構成比が60.8％に達することや、世界的なスポーツ及び政治イベントの影響も反映された結果となった。

　地域別に見ると、米州が8.0pt増、EMEAが6.1pt増、アジア・パシフィック（日本含む）が5.4pt増となり、市場規模の上位5カ国は2023年と変わらず、米国、中国、日本、英国、ドイツとなることが予測されている。

2025年の広告費成長率は5.9％を予測

　次に、2025年の世界の広告費成長率予測を見ると、広告費成長率は5.9％、市場規模は8,177億米ドル（約123兆円）になると推定。

　インダストリー別では、特にファイナンスが6.7pt増、製薬が5.8pt増、旅行・運送が5.5pt増になると予測。対前年比では、2024年の成長率に寄与した大型イベントが予定されていないため、成長率は減少するが、依然として世界経済の成長率を上回る見込みだ。

2026年、2027年も同様に堅調な成長を予測

　2026年の世界の広告市場は、5.9pt増の8,662億米ドル（約130兆円）を予測。また、2027年も同様に堅調な成長を見込んでおり5.8pt増、市場規模は9,160億米ドル（約137兆円）になる見通しだ。

　なお、総広告費に占めるアルゴリズム主導の広告の割合は、2024年には59.5％、2027年には79.0％にも達する見通しであり、今後のメディア戦略に大きな影響を与え、市場の成長を大きくけん引すると予測される。

媒体別の成長率、デジタル広告が広告費全体の62.7％を占める結果に

　媒体別で成長率を見ると、デジタル広告が広告費全体の62.7％を占め、特にリテールメディアが21.9pt増、ペイドソーシャルが8.7pt増、プログラマティックが11.1pt増、ペイドサーチが6.7pt増と高い成長率を見込む。

　テレビ広告の増加率は0.6％の増加率で、全体の広告費に占める割合は20.6％となる見込みだ。ブロードキャストにおける広告支出が減少傾向となる一方で、コネクテッドTVは18.4pt増の成長予測となり、今後も継続して二桁成長が見込まれる。

　減少傾向にある新聞・雑誌においては、－2.5ptの成長となる見通しで、広告費全体に占める割合も5.5％にまで低下することが予想される。また、それ以外の媒体では、OOH（屋外／交通）が3.9％、オーディオが1.8％、シネマが3.2％成長を予測している。

2025年の日本の広告市場は、3.8％の成長を見込む

　最後に、日本の広告市場について見ると、2025年は前回2024年5月発表の予測である2.5％から1.3pt上方修正した3.8％の成長を見込んでいる。今後の強い経済見通しにともなうマーケティング活動の活発化が見込まれ、デジタル、OOH、ラジオ、テレビの各分野で増加する予測だ。

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