電通グループは、世界58市場から収集したデータを基にした「世界の広告費成長率予測」を公開した。同予測は毎年2回を基本に実施。対象媒体はデジタル、テレビ、新聞・雑誌、OOH(屋外/交通)、オーディオ、シネマとなる。
なお、広告費は手数料や交渉による割引を差し引いた金額で、現地通貨建てで提供。2023年10月の平均為替レートで米ドルに換算し、実績値と最新の予測値はすべて恒常為替レートに基づき修正している。
今回は2023年、2024年、2025年予測の更新と2026年の新規予測を行った。
2023年の広告費は2.7%成長の予測 市場規模は初の100兆円超えに
2023年の広告費成長率予測は、不透明な経済状況による消費活動の減少などにより、6月時点予測(3.3%)から0.6ポイント下方修正の2.7%となる見込みだ。
市場規模は、市場成長に加えて為替の影響により、約106兆円の想定となる。デジタル広告は引き続き成長し、世界の総広告費に占める割合は過去最高の57.7%に達する見込み。
総広告費に占めるデジタル広告の割合、2026年に初の60%超えへ
また2024年の世界の広告費成長率予測は4.6%、市場規模は7,528億米ドル(約111兆円)となる予測だ。これは、複数の大型スポーツイベントや国政選挙などにより、広告機会が多く創出されることが背景にあるためとなる。加えて、媒体価格のインフレーションによる貢献も見込まれている。
地域別で見ると、全地域でプラス成長に。特に米州(北米とラテンアメリカの合計)は、2024年の広告費成長率1位が予想されている。
2025年、2026年にかけても、世界の広告市場は堅調に成長。それぞれ4.2%増の7,846億米ドル、4.3%増の8,184億米ドルを予測している。総広告費に占めるデジタル広告の割合は2025年に59.9%、2026年には61.1%となり、初めて60%台に達する見通しだ。
媒体別では、デジタル広告費が2024年においても6.5%の高成長を維持し、世界の総広告費の58.8%に達する予想に。リテールメディア(+20.8%)ソーシャルメディアおよびデジタルを含むディスプレイ広告(+6.9%)、探索連動型広告(+7.0%)がその成長を牽引する。
2023年のテレビ広告はマイナス4.0%の成長となるが、2024年以降は2.9%と再びプラスに戻る見通し。特にコネクテッドTV(+30.8%)が大きく成長すると分析されている。
継続して減少傾向にある新聞・雑誌はマイナス3.3%の予測。OOH(屋外/交通)、シネマ、オーディオは、それぞれ4.4%、6.4%、1.1%の成長見込みだ。
今後も成長が見込まれる、日本の広告市場
日本は世界第3位の広告市場であり、2024年は2023年5月発表の予測(1.0%)から1.5ポイント上方修正した2.5%の成長を見込まれる。また今後も成長が継続し、2025年は3.6%の予測となる。
広告費全体におけるデジタル広告の割合は45.8%を占め、主に探索連動型広告、動画広告、ソーシャルメディア広告が牽引。テレビ広告は全体の23.5%となり、2024年以降は徐々に回復が期待される。また、OOHはコロナ禍の影響から回復するとともに3Dや大型DOOHなどの新たなフォーマットの寄与もあり、今後も拡大していく見込みだ。
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