計画比3倍の売上、シリーズ累計600万回再生を達成
──本プロジェクトの企画段階で、具体的にどのようなKPIを設定されていましたか?
森部:今回は製品面とプロモーション面でKPIを設定しました。製品面では、モバイルパソコンというジャンルでNo.1を獲得することを目標としていました。

関口:プロモーション面では、動画の視聴回数を指標として設定しました。他社の企業案件動画の実績を参考に、1話につき50万回再生を目標としました。
──実際に、売れ行きや視聴回数はいかがでしたか?
森部:売れ行きは好調で、当初の計画値が昨年に比べて数倍高かったものの、それを約3倍上回る売上進捗を記録しています。
関口:プロモーション面でも当初の目標を大きく上回り、シリーズ累計で600万回以上の再生数を達成しました。特に、初回は100万回を超える再生数を記録し、企業案件としては成功を収めたと言えます。
──出演者との密なコミュニケーションによって、Z世代に“刺さる”製品が生まれ、今回の成功につながったということですね。
Z世代特有の「見た目」へのこだわり
──本プロジェクトを通じて発見された、Z世代特有の価値観や行動特性はどういったものでしたか?
森部:Z世代は「見た目へのこだわり」が、非常に強いことが明らかになりました。Nontitleのメンバーに、旧来のLAVIEシリーズを約1年間貸し出して、実際に使用してもらったところ、特に多かったのがデザインに関する要望でした。それを踏まえて、本体裏面のネジを見えなくしたり、ラベルをレーザープリントに変更したりなど、外観の美しさを追求する改良を加えました。

森部:特筆すべきは、キーボードの「かな表記」を省いた点です。ローマ字表記のみへの変更は、これまで何度も社内提案が出ては反対の声が上がり、実現には至っていませんでした。従来の我々の商品ではタブーだったことを「彼らが求めている」という大義名分で突破できたのは非常に良かったと考えています。
しかし、Z世代は「見た目」を重視する一方で、奇抜なものは好まないという傾向があり、その塩梅が難しかったです。iPhoneのカラーバリエーションを例にアンケート調査をしたところ、ほとんどの人が白か黒を選んでいました。他のカラーを選ぶと、色眼鏡で見られるから嫌なのだそうです。
──人からの「見られ方」を、かなり気にするのですね。
森部:これらの価値観や行動特性は、従来のアンケートやユーザー調査では捉えにくく、Nontitleのメンバーと約1年間行動をともにしたからこそ得られたインサイトだと考えています。
彼らから得たインサイトを基に、スマホアクセサリーを提供するcaseplayと協業し、スマホと同感覚で着せ替えられるPCケースを1,000種類以上提供しています。この着せ替えケースは、スマホネイティブ世代だからこそ生まれた発想でしょう。Z世代の多角的な趣味やTPOに合わせた表現を可能にしています。
