番組&CMの惹きの強さをデータで証明
MZ:放送局として注目度を活用して感じたメリットを教えてください。
桑原:対社内ではコンテンツごとの惹きの強さをデータで定期検診できるようになった点が挙げられます。一方、対社外では、広告主様に対してテレビCMの提案を行う際に、強みを示してアピールできる“推しデータ”として活用できるようになりました。今回、番組部分ではなくテレビCM部分の注目度についても調査してみたのですが、高い数値が出る傾向がありました。
桑原:たとえば、「家、ついて行ってイイですか?」におけるテレビCMの注目度を、ゴールデン帯における他4局の平均と比較してみたところ、他4局のゴールデン帯番組平均が53.6%だったのに対し、当該番組はそれを1.05倍上回る56.1%となりました。
また、最近新たに取り組んだ“クイズ形式”のテレビCMの注目度も調査。その結果、注目度は64.5%となり、他4局のゴールデン帯番組平均を1.2倍上回る結果になり、企画が効果をもたらしたことが明らかになりました。
さらに、1社提供のミニ枠番組でも同様の効果が見られました。他4局のゴールデン帯のミニ枠番組平均が54.2%であるのに対して、テレビ東京のゴールデン帯のミニ枠番組は54.6%とわずかながら上回る結果に。その中でも特に歴史が長いアフラック様1社提供の「生きるを伝える」は59.1%を記録し、高い注目度を獲得できていることが確認できました。
デジタルとテレビの適切な組み合わせがリーチ拡大につながる
MZ:テレビ業界の現状としてお話いただいたメディア環境の変化は、テレビCMの出稿状況にも影響しているのでしょうか?
桑原:はい、メディア環境の変化にともない広告出稿の選択肢も多様化しており、デジタル広告のようなターゲティングや効果計測がしやすい媒体に多くの企業が出稿しています。
一方、デジタル媒体と比較して、地上波は依然として強力なリーチ力をもっていることは認識する必要があると思います。たとえば、YouTubeの同時接続数の日本記録は今のところ約200万人(※1)と言われていますが、これはテレビの個人全体・全国視聴率の1.7%(※2)と同規模です。テレビの視聴率は分単位での集計なので、厳密には同時接続とは少々異なるとは言え、視聴率1.7%を超える規模のテレビ番組は日常的に数多く放送されています。
「料金が高い」というイメージを持たれがちな地上波テレビのCMですが、個人全体のリーチ単価でみると決して高くなく、潜在層含めて広くリーチしたい場合は案外コスパの良い選択肢と言えるのではないでしょうか。
※1:テレビ東京調べ(2024年時点)
※2:ビデオリサーチ「2024年度 調査エリア内推定世帯数及び人口」より推計
北川:私も日々の広告主様との対話を通して、YouTubeやTVer、ABEMAなどの新しいメディアプラットフォームへの期待は確実に高まっているものの地上波の影響力は依然として健在だと感じます。
事実、多くの広告主様は地上波テレビが依然として強いリーチ力を有していると認識しており、認知拡大を目指すための選択肢として地上波テレビは必ず挙がっています。
MZ:そうすると、広告主はメディアプランニングを行う上で、地上波とインターネット配信などのリーチ力をフラットに評価することが大切だということですね。
桑原:まさにその通りです。テレビCMとデジタル広告は、それぞれ異なる特性と効果をもっています。各媒体の特性とリーチ力を正しく理解し適切に組み合わせることで、より効果的なマーケティングが展開できるようになるでしょう。
これまで明確な数値把握が難しかった「テレビCMの効果」も、最近はパートナー各社様のお陰で可視化できるようになりましたね。