圧倒的スピードで進む、デジタルマーケティングのAI活用
生成AIの出現によって、デジタルマーケティングにおけるクリエイティブ制作の環境は既に劇的な変化を遂げています。媒体・プラットフォームによっては、静止画のみならず動画も生成AIで高精度に制作できるようになってきました。
また、広告運用の面では、GoogleのP-MAX キャンペーンに代表されるように、Googleのみならず媒体各社がキャンペーンの運用をAIの力で回せるようになっており、コンバージョンが最大化されるように自動調整できる状態まで進化しています。
今後の予想として、媒体・プラットフォーム横断でAIが介在し、マーケティングの予算と目標、目的さえ手入力すれば、あとはAIが的確にキャンペーンを設計・運用してくれるような時代の到来が期待されます。既に類似のツールが複数出てきており、実現はそう遠くない未来だろうと考えています。
加えて、MA(マーケティングオートメーション)を含むマーケティング運用支援システムの開発も、AIドリブンな企業で活況です。たとえば、CDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)のうち10万人の顧客セグメントにレコメンドメールを送りたいという話があったとして、AIのエンジンが10万人それぞれにハイパーパーソナライズされた別々のレコメンドメールを制作して配信できるシステムが構築されてきています。
数年先には、そのようなシステムをインハウスで使いこなす先進企業が出始めるのではないかというのが現時点での見立てです。
インハウス化でもAI人材が重宝される未来へ
影響力がすさまじくメリットも多いAIは無視できない存在である一方、まだ完璧な状態ではなくミスをしてしまうケースもあります。AIを活用しつつ、ミスが発生したところを人が補正・フィードバックしたり、追加のプロンプトで指示を与えたりして補完することを“Human-In-The-Loop”と呼びますが、デジタルマーケティングのインハウス化においてもAIを使いこなせる人材がより重宝される未来が訪れるのではないかと思っています。
また、事業やサービスにはコンセプトが必ずありますが、そのような人の思いに関しては、どれだけきれいなプロンプトを書こうともAIではなかなかつくることができません。広告やクリエイティブにおいて本質的に大事にしなくてはならないコンセプト面については、AIの力が及ぶのはまだ先になるのではないかと予測しています。
だからこそ、どんなにAIによるクリエイティブが進化しても、最終的には人が介在してチューニングするということは不可欠だと考えています。