「勝つべき土俵」の高解像度化と共通言語化
GTM DMIモデルではプランニングの起点として、「勝つべき土俵」を検討すべく「Market & Account」レイヤーを設けています。
このレイヤーでは
(1) Market Analysis:自社が参入もしくは創造する市場について、全体像や成長可能性を試算、分析する。その市場が魅力的かどうか? 競合状況はどうか? などを業種などの切り口でTAM/SAM/SOM(参考:記事末の用語集)を包括的に検討。
(2) Account Analysis:市場において、自社商品・サービスを売る対象となる「企業」や「部門」を特定・分析。自社商品・サービスを購入し得る企業の条件と、その条件を満たす企業をリストアップし、「どのような企業・部門なのか」と「その企業・部門に実際にどのようにアプローチするか」の2つを検討。
(3)Competitor & Alternatives:自社商品・サービスの競合または代替となり得る商品・サービスをリストアップし、比較、他社の商品・サービスが自社商品・サービスの代替品になり得るのかを検討する。この時、「自社が設定している競合他社」だけではなく「想定顧客が購買検討する際の選択肢となる商品・サービス全般」を定義して検討することが重要。バリュープロポジション(用語集)を「顧客のメリット(市場のニーズ)」から考える。
という3つの項目から形成されています。
TAM/SAM/SOMの分析による市場規模の算出、市場成長性やトレンドの分析を通して市場の魅力度を判別し、市場を構成する企業の数、特性、特徴、ビジネス構造、競合上などの解像度を上げ「勝つべき市場」を検討するためのレイヤーが「Market & Account」レイヤーとなります。
DMIでは、プランニングのためのテンプレートを公開しています。それぞれの項目を詳しく知りたい方はこちらのリンクからスプレッドシートを参照ください。
今回はGTMモデルの全体像と構築のポイントおよびMarket & Account レイヤーの解説を行いました。第三回の連載では自社の勝ち筋を見つける「Buyer & Value」について解説していきます。
【参考資料】
注1:ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)2010/4/23刊行 楠木 建 (著)
注2:グロービス経営大学院 MBA用語集 https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-11902.html
注3:知財戦略のススメ コモディティ化する時代に競争優位を築く 2016/2/5 鮫島 正洋(著), 小林 誠 (著)
【用語集】
◆TAM/SAM/SOM
「市場において自社の事業が生み出すと想定される利益」を把握するために用いられる指標。
TAM(Total Addressable Market):ある事業が獲得できる可能性のある全体の市場規模。事業が獲得し得る顧客層の最大の大きさを指し、多くの場合「年間で市場全体で支払われる金額の総額」と言い換えられる。
SAM(Serviceable Available Market):TAMのうち、ある事業が実際に顧客としてアプローチできるターゲット層を指す。TAMを踏まえ、自社の事業の特徴やターゲットの性質などを考慮した上で、実際にアプローチできる市場規模を算出する。
SOM(Serviceable Obtainable Market):ある事業が実際に獲得(サービス提供)し得る市場規模で、そのまま売上目標として扱われることもある。自社の営業・マーケティングリソースを踏まえて、事業に触れる可能性のある顧客数はどれほど存在するのかを検討する。
◆バリュープロポジション
企業(商品・サービス)が顧客に提供する価値を表したもの。さらに言うと、自社が提供できて、競合が提供できない、顧客が求める独自の価値を表したもの。
