SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめのセミナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第111号(2025年3月号)
特集「CES 2025より テクノロジーで変わる社会、広告、マーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

実践!GTM DMIモデル

自社がコンタクト可能なターゲット顧客は「何社・何人」か?売上に直結する「販売チャネル」戦略の進め方

 デジタルマーケティング研究機構(以下、DMI)のB2Bマーケティング委員会が発表した、主にB2Bに携わる企業のマーケティング活動において製品やサービスを市場に投入する際に検討するべき項目やプロセスをまとめた「GTM DMIモデルver.1.0」。本連載では、企業が今GTM(Go To Market)に取り組む意義や取り組む際のポイントを解説していく。今回は、「GTM DMIモデル」の第三ステップである「Channel & Engagementレイヤー」について解説する。

「何社・何人」の共通認識はできているか?

 これまでの連載では、第2回記事で「Market & Accountレイヤー」として対象市場やアカウントの解像度、第3回記事で「Buyer & Valueレイヤー」として購買意思決定者のペインや値について説明してきました。

 今回はGTM DMIモデルの「Channel & Engagementレイヤー」をご説明したいと思います。ここからより実践的なプランニングに移ります。

画像を説明するテキストなくても可
GTM DMI モデル ver1.0の全体像

 まずは下図をご覧ください。「ターゲット企業」は「Market & Accountレイヤー」で策定したターゲットとなる企業ですが、「自社のCRMやMAに存在するコンタクト可能企業」と重ねた場合、(B)エリアにいるのは「何社・何人」でしょうか? また、その数値は社内での共通認識でしょうか?

「何社・何人の共通認識」の図
ターゲット企業とコンタクト可能な企業の重なりは「何社・何人」存在するか?

 この「何社・何人の社内での共通認識」が、本日解説する「Channel & Engagementレイヤー」のプランニングにおいて、非常に重要な意味を持ちますので、ぜひ覚えておいてください。

 GMT DMIモデルにおけるチャネルとは「営業部門」や「販売代理店」などの販売チャネルを指します。ターゲット顧客と顧客価値を明確化できれば、その顧客価値を適切かつ効率良く届け、売上につなげるプランが必要となりますが、それをRoute To Market(以下、RTM)と呼びます。

 どういったターゲットセグメントに、どのような販売チャネルを利用してアプローチするのか? これを明確化し、その販売チャネルごとに支援策を考えていく必要があります。

 具体的には、

  • 上場企業約3,600社は社内の営業部隊が直接営業する
  • それ以下の企業はインサイドセールスが営業を掛け、販売代理店にトスアップする

など、まずは「テリトリー」と呼ばれる営業領域を設計します。

Route To Market 参考図
Route To Market 参考図

 こうしたテリトリーの設計により、上記の例では上場企業向けの営業部隊の支援に加え、インサイドセールス部隊と販売代理店の支援が必要になることがわかります。

 社内の営業向けには商材の社内説明会や、WebによるQ&A集の提供、商談ロールプレイの実施、提案資料のひな形の提供など、単なるリードだけではなく、実際の商談に役に立つ支援を提供する必要があります。

 また、販売代理店向けには同様の教育や資料による支援に加え、インセンティブ設計も重要です。販売目標の達成に応じて卸売価格の調整や、優秀な支店を表彰するなど、様々な手法を駆使し、自社の商材を販売する動機形成を行う必要があります。

 日本において、マーケティング部門がRTMを自由に設計している企業は少ないですが、販売チャネルへの支援を提供することは売上に直結する重要な施策となります。

 たとえば、「Play Book」として市場と顧客価値の説明資料の作成、導入事例、商材のカタログやWebの作成、販売店向け説明会、目標達成のインセンティブイベントの実行など、マーケティングが得意とする施策が多くあります。

 ターゲティングと顧客価値設計の解像度が高ければ、営業部門とともにチャネル施策にも様々なアプローチが可能となるのです。

 これまで日本のB2Bマーケティングでは、顧客向けのキャンペーン施策が注目され、KPIも無意識に送客数や案件金額など、「顧客との直接的なインタラクション」が目標値とされていました。しかし、こうした「チャネル支援策」もB2Bマーケティングが設計すべき領域なのです。

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
    ※プレミアム記事(有料)は除く
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー


「MarkeZineプレミアム」とは
溢れる情報の中から、今知るべき優良なマーケティング情報を厳選してお届けする会員サービスです。 Web有料記事が読み放題になるだけでなく、限定セミナー、ホワイトペーパー、雑誌(電子版)など複合的なサービスを通じて、 良質な情報をお届けいたします。個人でのご利用はもちろん、チーム利用向けのプランも複数ご用意しておりますので、 チームビルディングや人材育成にもご活用いただけます。

●全プレミアム記事がWebで読み放題
●限定イベントに無料で参加し放題
●限定ホワイトペーパーが読み放題
●雑誌『MarkeZine』が毎月届く。バックナンバー(電子版)も読み放題(チーム利用向けプランのみ)

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラスをご契約の方は
・こちらから電子版(誌面)を閲覧できます。
・チームメンバーをユーザーとして登録することができます。
 ユーザー登録は管理者アカウントで手続きしてください。
 手続き方法の詳細はこちら

次のページ
「何社・何人」の共通認識がなければ、「正しいゴール」は設計できない

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
実践!GTM DMIモデル連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

大橋 慶太(おおはし けいた)

公益社団法人日本アドバタイザーズ協会 デジタルマーケティング研究機構
B2Bマーケティング委員会 委員長
マーケットワンジャパン 合同会社 執行役 事業開発管掌

BtoC、BtoB企業のマーケティング・コンサルティングに20年以上従事。現在は大手製造業向けに、マーケティングを軸にした新規事業探索、デジタルト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2025/04/10 09:30 https://markezine.jp/article/detail/48842

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング