ケース2: リターゲティングでセールイベント期間の売上を伸ばす
近年、日本でもブラックフライデーやサイバーマンデーなどのセールイベントが定着し、大きな話題を呼んでいます。このようなイベント期間にもリターゲティング広告は有効活用できます。
セール期間中は多くの市場でコンバージョン率が大幅に上昇することが示されています。しかし、同時期に競争も激しくなる可能性があるため、ユーザーの注目を集めるには一層の努力が必要です。そこでリターゲティング広告が重要な役割を果たします。最も効果的な方法は、セール前からユーザーの興味や購入履歴を記憶しておき、プロモーション期間中にそれを活かすことです。
それを実践したのは、ホーム&リビング関連のECを展開するB社です。B社は、巧みなリターゲティング戦略を用いて、前年同期比でブラックフライデーの収益を81%増加させることに成功しました。ユーザーに合った広告クリエイティブを提供し、関心の高いプロモーションを強調することで、コンバージョン率を改善したのです。
ケース3:初回購入者を増やすリターゲティング広告の活用方法
リターゲティング広告は、新規顧客の初回購入を促す強力なツールとしても活用できます。一般的にWebサイトを訪れたユーザーの約97%は購入せずに離れてしまうと言われていますが、リターゲティング広告はそのようなユーザーを再び呼び戻すことができます。ユーザーの閲覧行動から興味のある商品を推測し、それに基づいた広告を作成して再訪問を促すのです。たとえば、スニーカーのページを長時間見ていたユーザーには、その靴に関連する広告を表示するなどの対応が可能です。
DSP事業者は、このプロセスを効率化するためにディープラーニングなど独自の技術を活用しています。データを分析することで、ユーザーが特定のスポーツブランドにのみ興味を示していることを特定し、そのブランドのスニーカーを表示したり、同じブランドのウェアをアップセルしたりする機会を提供できるからです。
たとえば、オンライン食品配達サービスを提供するC社では、DSPのディープラーニング技術と個別化された広告クリエイティブを組み合わせることで、初回注文目標の達成と収益向上を実現しました。10ヵ月間のキャンペーンでは、ユーザーの好みに応じたきめ細やかな広告配信を行い、たとえばスパイシーな料理に興味を示したユーザーに対して他の辛い料理の広告も表示するなど、効果的なアプローチを実施しました。
ケース4:モバイルゲームアプリ内にリターゲティング広告を配信し、休眠ユーザーをアクティブ化
リターゲティング広告は、ECサイトだけでなく、モバイルゲームアプリの利用促進にも活用できます。ゲームアプリでは、ユーザーの継続利用が非常に重要であり、そのためアクティブなユーザー数、平均継続率、有料ユーザーの割合などの指標を継続的に計測・分析しています。
市場には無数のゲームアプリが存在する中で、ユーザーの可処分時間には限りがあるため、一度アプリの利用を中断したユーザーが再び利用を始める可能性は低くなる傾向にあります。
ゲーム会社のD社は、「F」というゲームタイトルの利用を中断してしまったユーザーの再利用を促すために、リターゲティング広告を活用しました。モバイルアプリでは、リターゲティング広告を活用することで、ユーザーが他のアプリを使用している時でも接点を持つことが可能です。この方法は、通知やメールよりも自然な形でユーザーにリーチし、再利用を促すのに効果的なのです。
D社では、先端テクノロジーを用いたDSPと組み合わせてリターゲティング広告を展開することにより、「F」のユーザーの再利用と課金促進を目的としたキャンペーンを複数の地域で実施しました。ユーザーの広告疲れを防ぐため、様々な広告クリエイティブを作成し、地域ごとにユーザーの反応にどのような違いがあるかを分析。その結果、課金に結びつくアクションが増え、他のチャネルと比較して3.6倍速く投資を回収でき、収益フローを改善できました。