ケース5:リターゲティング広告で高額商品の問い合わせを増やす
リターゲティング広告は、高額商品の問い合わせ促進にも役立ちます。たとえば、自動車のような高額商品の購入を検討する際、ユーザーの意思決定プロセスは長期化する傾向がありますが、リターゲティング広告はディーラーへの来店や試乗の予約を促す重要な役割を果たし、顧客が理想とする車との出会いを支援します。
たとえば、家族が増えた顧客にSUVを提案したり、環境意識の高い顧客にEVやハイブリッド車を提案したりすることができます。この手法は、多様な車種を扱う自動車販売事業者やその関連サービスに有効です。豊富な選択肢がある中で、顧客が検討するための継続的なコミュニケーションができるからです。
たとえば、自動車検索ポータルサイトを運営するG社では、リターゲティング広告によって問い合わせ数を7倍に増やすことに成功しました。成功のカギは、詳細な市場セグメンテーションを活用し、ユーザーの興味を引く車種を正確に把握することでした。これにより、高度にパーソナライズされた広告を配信して、ユーザーからの問い合わせを促進し、最終的な販売へとつなげています。
ケース6:広告の美しさと実用性を兼ね備える
リターゲティング広告の成功要因の一つに、広告バナーの視覚的な美しさがあります。特に、ブランドイメージが重要な商材の場合は、魅力的で適切な広告クリエイティブは、商品を探している人を顧客に変えたり、商品やブランドに共感してもらったりすることができます。
また、顧客がブランドには馴染みがあっても特定の商品ラインについては知らない場合、そのブランドを前面に押し出しつつ、販売したい特定の商品ラインを同じ広告内で強調するといったことも可能です。
視覚的な美しさは、広告成功の一部に過ぎません。効果をより最大化させるために、ディープラーニングなどの先端テクノロジーを使って最適な広告タイプを特定してコンバージョンを向上させていくことも重要です。
たとえば、ファッションEC事業者のH社では、優れた広告クリエイティブのバナーを用意し、リターゲティング技術を活用してユーザーが購入する準備が整ったと判断した瞬間に広告を表示することで、収益を倍増させることに成功しました。
ここまで6つの事例を見てきました。前述した通り、先端テクノロジーを活用したリターゲティング広告がキャンペーンの成功を支えています。リターゲティング広告は短期的な効果と長期的な戦略性を併せ持ち、適切に活用すれば収益に大きな影響を与えられます。
次回の記事では、複数のDSPを活用する「マルチリターゲティング」の具体的な効果について紹介します。異なるアルゴリズムを利用してより広範囲のユーザーにアプローチすることで、コンバージョン率の向上が期待できます。
また、複数のプロバイダーを利用することで競争が促進され、広告予算の最適化やキャンペーン効果の最大化も図ることが可能です。さらに、インプレッション数やクリック数、コンバージョン数の変化、ROASの改善など、マルチリターゲティングによって向上する具体的な指標についても解説します。