テレビCMの指標をどう定めるのか
広告主の売上につながる、テレビCMの指標はどのように定めたらよいのだろうか。従来はいかにターゲットにリーチしたかを見るのが一般的だったが、CMを見た後にサービスについて調べて理解を深めたり、購入したりと、行動につながらないとビジネスに寄与する効果が出たとは言い難い。
「我々は指標として指名検索をオススメしています。もしテレビCMを見て気になったら、検索しますよね。また、指名検索と購買との相関性も非常に高いと、ノバセルの分析実績で、かなり明確になってきています」(綿川氏)
CM放映後の指名検索やサイト流入は、「ノバセルトレンド」「ノバセルアナリティクス」で確認可能だ。CMの放映単価を入力するとダッシュボード上でCPAなども見られる。改善を重ねていくことで、10〜20%も費用対効果を上げられる。

ノバセルのツールを活用して効果検証を行なっている広告主の一つに、自動車メーカーのSUBARUだ。テレビCMのKPIを来店とし、そこに向けて改善アクションを行っていった。
具体的には、KPIの中間指標が何になるかを精査したところ、指名検索リフトの相関性が高いことを発見。検索リフトにまつわる様々な変数をすべて分解し、有効な指標を可視化したうえで、改善のロードマップを組んでいった。
「SUBARU様の事例では、当社のツールを使ってフォーカスするテーマを決め、アクションをサポートし、指名検索を最大化できています。結果として、検索リフトは同じコストで14.5倍上がり、KPIとしていた来店数も110〜140%ほど増加しました。これら一連のコンサルティングサービスを、我々は『ノバセルプロフェッショナル』と呼んでいます」(綿川氏)

クロスメディアで「ものさし」をそろえる
テレビの影響力が下がる中、CM予算を振り分けクロスメディアを使いこなす時代になっている。予算の移行先として、検索連動型広告やSNSと並んで、YouTube、TVer、ABEMAなどの動画広告が注目されている。

実際にフリークエンシーの質が異なるテレビCMとYouTubeを組み合わせることで、単体での出稿よりも成果を上げられる。ただ、まだ効果を最大化する最適解が出ている企業は多くない。

クロスメディアで予算配分の最適解を出すのが難しい要因として、テレビCMでは視聴率、Youtubeではリーチやインプレッションと、媒体ごとに指標が不統一なことがある。ものさしがバラバラであれば、1リーチの価値も異なってくるので総合的な評価ができず、PDCAを回すのが難しい。MMM(マーケティングミックスモデリング)であれば総合評価ができるものの、一般的には膨大なコストがかかるうえ、振り返りサイクルが年に1度程度と時間も要する。

「MMMよりも短い期間でものさしをそろえる解決策があります。その指標となるのも、指名検索です。なぜなら、純粋想起と明確な連動が確認できますし、指名検索を経て流入してきたユーザーはCVRが高くなるからです」(綿川氏)
ノバセルでは、クロスメディアで最適なメディアプランニングができる「ノバセル MMM」を提供。月単位でのスピーディーなMMMによる分析も可能だ。
テレビCMもクロスメディアも有益だが、効率的に効果を出すには、ゆるぎない指標を持って成果を可視化することが重要だ。綿川氏は最後に「広告費はまだまだムダを削れます。ぜひノバセルのツールを活用して効率化していただければ幸いです」と話し、同セッションを締めくくった。
広告主が考えるテレビCMの現在地とは?
いわゆる「フジテレビ問題」の発覚以降、従来からのデジタル移行も相まって、企業の広告出稿に対する考え方に変化が生じています。調査レポートからは、広告主のテレビCM出稿に対する実態や、デジタルメディアの有効活用に向けた具体的な課題などが浮き彫りになっています。