BeRealらしい広告が高パフォーマンスの鍵に
実はBeRealも、広告事業を始めた当初は、他プラットフォームと同様にDSP(デマンドサイドプラットフォーム)を通じたネットワーク広告機能を取り入れるつもりだった。そうしなかった理由について、BeReal COOのMainard氏は「ユーザーが期待しているものに合わなかった」と振り返る。

「テストを開始してすぐ、私たちが提供する『ありのままの日常をシェアする』というプラットフォームの方向性やユーザーの期待とも合わないことがわかり、方向転換をしました」(Mainard氏)
その後、BeRealは日本市場に対応するための日本オフィスを開設。そして、広告代理店とパートナーシップを結び、ブランドと話しながら「BeRealらしい」クリエイティブを通じてコミュニケーションを取る方法を一緒に構築している。
ユーザーが“いかにも”な広告を忌避する傾向は、日本での広告配信結果にも表れていた。“BeRealらしい”純広告であれば誘導リンクのCTRは平均5%だが、Instagramと同じクリエイティブを用いると0.5%程度になる。
若者の“日常”を生み出すプラットフォームを目指す
BeRealの日本市場の責任者である笹川明人氏は、今後のBeReal広告の目指す姿について、次のように述べた。

「たとえば昔は、風呂上がりにコーヒー牛乳を飲む習慣がありました。また平成の学生なら制汗剤といえば『8x4(エイトフォー)』でしたし、飲料なら紙パックの『リプトン』をよく飲んでいました。当時はデジタル広告はなかったので、こういった“みんながやっていた行動”は、テレビや雑誌を通じて作られていました。しかし現在は、高校生・大学生の日常生活に自然と溶け込むようなブランド体験をBeReal上で提供することにより、文化の形成が可能だと考えています」(笹川氏)
若者の文化を生む場になるというBeRealの目指す姿を叶えるにあたって、ユーザーを増やし定着させる策をMainard氏に聞いた。
まず、Z世代全体への普及を目指すだけでなく他世代への拡大を狙い、有名人やインフルエンサーによる公式アカウントの利用を積極的に推進し、プラットフォームの認知度向上を図るという。

第二に、以下3点の機能開発を予定しているという。
- 動画などの新フォーマットによるコンテンツ共有機能の拡充
- 「RealMojis」やコメント機能、チャット機能といったエンゲージメント機能の強化
- 親しい友人だけでなく著名人やインフルエンサーとのつながりを創出する機能の開発
「これまで、BeRealはマーケティング投資を行わず、製品力とコンセプトの強さによって現在の成長を実現しました。今後も『最良のマーケティングは優れた製品』という方針で、製品の継続的な改良に注力し、よりクリエイティブなフォーマット、共有機能の拡充、重要な人々とのつながりを強化する成長戦略を取るつもりです」とMainard氏は語る。
製品力とコンセプトの強さで成功してきた同社が、広告プラットフォームの側面も強化しながら若者の日常文化を創出する場へと進化しようとしている。独自のポジションを築きつつあるBeRealの今後に、注目が集まる。