分析や情報収集に活用できる、高性能なAIツール
AI技術の進化により、高性能な生成AIツールが次々に登場しています。その中から、口コミ分析や競合の情報収集にも活用できる、ChatGPTの「詳細なリサーチ(Deep Research)」とXの「Grok(グロック)」を紹介します。
ChatGPTの「詳細なリサーチ(Deep Research)」
ChatGPTの「詳細なリサーチ」(Deep Research)は、名前の通り、詳細な調査を行える機能です。これまではChatGPT Proのユーザー向けに展開されていましたが、2025年2月よりChatGPT Plusでも利用できるようになりました。
ChatGPTがWeb上の情報にアクセスし、推論しながら必要な情報を幅広く収集してくれます。ChatGPT Plusのユーザーには、月に10回という利用制限はあるものの、強力なリサーチ能力をもっています。
実際に使用する際は、ChatGPTにアクセスし、入力窓の下にある「詳細なリサーチ」ボタンを押します。その上で、調べたい情報を入力します。「詳細なリサーチ」をする際は、モデルを「GPT-o3 mini」にするのがお勧めです。GPT-o1ほど高性能ではありませんが、賢さとスピードのバランスが良いです。
ある商品とその競合について調査したい場合は、「この商品について商品情報と競合の口コミを含めてリサーチをし、レポートを出してください」といった形で依頼できます。
例として、筆者が所属する株式会社ホットリンクについて、下記のように依頼しました。
【プロンプト例】
ホットリンクが提供しているサービスの内容と、その強みをリサーチしてレポートを出してください。

すると、「どの程度詳細な情報が必要か」「レポートのフォーマットに希望はあるか」などの事前質問が表示されます。こちらから送ったリサーチ依頼に対して、ChatGPTから下記のような返答がありました。
ホットリンクの提供するサービスについて、どの程度の詳細が必要でしょうか?例えば、特定のサービス(SNSマーケティング、インフルエンサーマーケティングなど)に焦点を当てますか?
また、ホットリンクの強みを競合と比較して分析するのか、あるいは単独での強みを知りたいのかも教えてください。
さらに、レポートのフォーマット(例: 簡潔な概要、詳細な分析、表やグラフの有無)についてもご希望があれば教えてください。

これに対しては、たとえば「幅広く調査してください」「売上の多いブランドを競合としてください」など、希望があれば伝えましょう。さらに「口コミからどのような比較ポイントがあるか導いてください」といった具体的な指示もできます。
今回こちらからは、下記のように伝えました。
【プロンプト例】
幅広く調査してください。ホットリンクの強みを競合と比較して分析し、テキストベースでOKなので詳細なレポートをお願いします。
リサーチが始まるとプログレスバーが表示されます。クリックすると調査の過程が表示されるので、AIがどのように情報を収集しているかを確認できます。
こちらからのリサーチ依頼に対して、ChatGPTからは下記のような返答がありました。
承知しました。ホットリンクが提供するサービスの内容を幅広く調査し、その強みを競合と比較して分析した詳細なレポートを作成します。
レポートでは、以下の点を含めます:
- ホットリンクの主要サービス(SNSマーケティング、インフルエンサーマーケティング、データ分析等)
- 競合との比較(主要競合の特定、サービスの違い、強みと弱みの比較)
- ホットリンクの強みと差別化要因
- 業界の動向と今後の展望
調査が完了次第、レポートをお届けしますので、お待ちください。

ユーザー数が増えている時期は処理に時間がかかることもありますが、アウトプットの精度が非常に高いです。ざっくりした質問にも対応できるため、初めての方も試しやすくなっています。
Grok
「Grok」はXに内蔵されているAIで、Deep Researchの機能が無料で開放されています。ChatGPTやClaudeはXへのアクセスが遮断されていますが、GrokはX社の製品なので、Xのデータやツイートを直接参照できる点が大きな強みです。
2025年2月にリリースされた最新モデル「Grok 3」は非常に優秀で、高度な推論や大規模な計算にも対応しています。
X上の口コミを分析する際は、Grokで「〇月の〇〇に関する口コミの傾向を教えて」などと質問し、結果を得ることも有効な手段の一つです。
やみくもに分析するのではなく、目的を明確にして取り組む
ここまで解説してきたように、生成AIツールによって、生活者の声や競合に関する情報を分析する作業は、随分効率化されています。ただし、「分析すること」そのものを目的としないように注意しましょう。分析は、あくまでもより効果的なSNS運用を行うための手段です。
分析の目的を明確にした上で、何を知りたいのか、どのような示唆を得たいのかを整理しましょう。それによって、収集するデータや分析の方法も変わってきます。
こうして得られた分析結果を基に、SNS運用の改善策を考え、施策を実行していくことが大切です。生成AIを活用し、より効果的かつ効率的なSNS運用を目指しましょう。