※本記事は、2025年4月刊行の『MarkeZine』(雑誌)112号に掲載したものです
令和を生きるガールズたちのインサイト&トレンド速報
─ 2024年Z世代女子のトレンド&インサイトを電通専門組織「GIRL’S GOOD LAB」が総解説!
─ さよなら、秘め事。女の子のタブーをもっと話せる社会へ。
─ 「THEかわいい」へ回帰?時代は「自分かわいい至上主義」へ(本記事)
いま「THEかわいい」がアツい!
今月のテーマは、なぜいま「THEかわいい」がアツいのか? 2024年のトレンドを振り返ると、タイトルに「かわいい」と入ったアイドルソング、リボンやフリルなどのファッションアイテム、キャラクターの愛らしいぬいぐるみなど、ある種王道ど真ん中で「かわいい」と言えるものが並びます。
「ピンクやリボンって子どもっぽい」「あざといのはイタい」……一昔前はそんなイメージもありましたが、どうして今「THEかわいい」が支持されているのでしょう。このトレンドから、女の子の今を紐解いていきます。
「かわいい」を全肯定する楽曲がTikTokを中心に大ヒット!
まずこのトレンドが最も顕著だったのは、女性アイドルのヒットソングでした。FRUITSZIPPERの『わたしの一番かわいいところ』、CUTIESTREETの『かわいいだけじゃだめですか?』、超ときめき♡宣伝部の『最上級にかわいいの!』といった、自分自身を「かわいい」と全肯定する楽曲がTikTokを中心に大ヒット。特に『わたしの一番かわいいところ』はTikTokでの再生数が26億回超えという驚異の数字を記録しています。おとぎ話のプリンセスのようなカラフルなドレスで、簡単に真似できる可愛らしい振り付けを踊るメンバーの姿も人気を博しました。
「バレエコア」などガーリーファッションがトレンドに
「THEかわいい」トレンドは、ファッションアイテムにも。昨年はバレリーナの衣装からインスピレーションを受け、リボンやサテン、フリルなどのアイテムを使う「バレエコアファッション」が大流行。K-POPグループBLACKPINKのジェニから火がつき、各所で様々なファッションアイテムが発売され、手軽に取り入れられるようになりました。ティーン世代だけでなく社会人の間でも流行したのも特徴的で、miumiuといったガーリーなハイブランドの売上増加も話題となりました。
平成で人気だったキャラクターの人気が再燃
さらに、最近雑貨屋で目を引くのがキャラクターアイテムの人気ぶりです。昨年50周年を迎えたハローキティを代表キャラクターにもつサンリオは、推し活グッズでも活用されるなどティーン世代にまだまだ人気。輸入雑貨専門店のPLAZAでは、平成を彩っていたパワーパフガールズやケアベアなどのアメコミキャラ人気が再燃し、まさに平成に青春を過ごした大人世代もキャラクターグッズを楽しむようになっています。
ほかにも、韓国発のエスターバニー(Esther Bunny)や動画発のパペットスンスン(PUPPET SUNSUN)など、見た目も愛らしいキャラクターグッズが人気となり、それをバッグなどにつける人も増えています。ティーン世代から大人世代まで、普段持ち歩くバッグに大きなマスコットがついているのは、今までになかったトレンドかもしれません。

これまでピンクやリボンなど、あまりにも王道でガーリーなものは「あざとい」「男性ウケを狙ってる」「イタい」といったイメージを持たれ、やや敬遠されていました。現在のTHEかわいいトレンドの背景には、どのような価値観、インサイトの変化があるのでしょうか。