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「ショート動画」活用の最前線

群雄割拠の縦型動画時代、若年層に響くコンテンツを作るには?サイバーエージェントの専門チームに聞く勘所

 昨今、若年層を中心に縦型動画・ショート動画の影響力は増すばかりだ。SNSマーケティングにおいても、この潮流を実感しつつもトレンドを捉えたクリエイティブ制作や運用に難しさを感じている担当者は少なくないだろう。本記事では、サイバーエージェントのSNSクリエイティブスタジオで責任者を務める平田梨里花氏にインタビュー。縦型動画のトレンドや若年層のインサイト、クリエイティブ制作・運用のポイントを伺った。

縦型動画の戦国時代が到来。新たな武器が必要に

MZ:はじめに、自己紹介をお願いします。

平田:サイバーエージェント入社後、宣伝本部にて恋愛リアリティーショー『オオカミくんには騙されない』シリーズや『シャッフルアイランド』シリーズを中心に番組のプロモーションを担当しました。入社3年目からは、新しい未来のテレビ「ABEMA」コンテンツ全体のTikTok責任者としてSNSマーケティングに従事しました。

 2024年1月、社内で「SNSクリエイティブスタジオ」を立ち上げ、現在はその責任者を務めています。SNSクリエイティブスタジオとは、SNSに特化した縦型動画クリエイティブの専門チームです。企画立案から撮影・編集・投稿・運用まで、一気通貫で内製しています。

株式会社サイバーエージェント 『SNSクリエイティブスタジオ』責任者 平田梨里花氏
株式会社サイバーエージェント SNSクリエイティブスタジオ 責任者 平田梨里花氏

MZ:なぜ、SNSクリエイティブスタジオを設立されたのですか。

平田:「ABEMA」が運用するSNSのロイヤリティを高めるため「従来SNSで発信していた番組の切り抜き動画以外の新たな武器が必要」と考え、当社社長の藤田に専門チームの新設を直接提案しました。

 その背景として、ここ最近は特に広告案件やショートドラマなど、多くの企業が縦型動画領域に参入しており、クリエイティブのクオリティが全体としてかなり上がってきています。加えて、ユーザー側も自ら切り抜き動画などの編集・作成を行う方が増え、企業側より早くアップロードされるケースもあるほどです。

 だからこそ、公式アカウントならではのオリジナリティやクオリティを担保し、ユーザーがフォローするメリットを作るべきだと思いました。実際に、SNSで発信するための撮り下ろしの縦型動画クリエイティブを手掛けています。

投稿まで最短3日!移り変わりが激しい若年層トレンドに対応するために

MZ:縦型動画コンテンツは、特に若年層がメインのユーザーになっています。平田さんから見た若年層ユーザーのニーズや、縦型動画のトレンドを教えていただけますか。

平田:10代の生活者にインタビューすると、トレンドの移り変わりは激しいと実感します。たとえば企業のSNSアカウント運用をしていて、企画から投稿までが1ヵ月のペースだと、10代にリアルタイムで流行しているものと投稿内容がズレる可能性があるのです。

 また彼ら・彼女らは“タイパ重視”のコンテンツに慣れているので、1分ほどの短尺でおもしろさを感じてもらえる構成をどれだけ練れるかが勝負です。クリエイティブにどの程度要素を詰め込めるか、冒頭をキャッチーに見せてフックを作れるか。昨今の縦型動画には、これらの要素が特に求められています。

 そのためSNSクリエイティブスタジオでは、「ABEMA」の番組を盛り上げるために番組担当と二人三脚でチームを組み、企画のクオリティを担保しつつ発案から投稿まで最短3日のスピードで発信しています。

MZ:すごいスピード感ですね。実際に運用される中で課題はありますか。

平田:私たちのゴールは、縦型動画を入り口にしてプロダクト視聴、すなわち「ABEMA」へ誘導することです。しかし、短尺でのコンテンツ消費に慣れてしまっている若年層は「かいつまみ視聴」がほとんどで、SNS内で完結してしまいます。短尺で魅力的かつわかりやすく作ると、今度は「ABEMA」の外側で満足されてしまうジレンマが課題ですね。

 若年層はSNSでコンテンツを視聴する際、「全部を見なくても概要を理解できるもの」を求める傾向にあります。ですから、縦型動画だけで興味が満たされ過ぎないバランスのコンテンツ発信が重要となり、私たちのミッションの一つだと感じます。

MZ:現在SNSクリエイティブスタジオでは、Instagram、TikTok、YouTubeのアカウントを運用されています。プラットフォームごとに違いはありますか。

平田:Instagramはビジュアル重視で、ファッショナブルな空気感が強いプラットフォームです。会話で魅力を示すよりフォーマットや型で見せるもの、「旅行Vlog」のように映えて可愛いものが企画として伸びやすいですね。

 TikTokは番組のチャンネルを見る感覚で消費でき、コンテンツ力やバラエティ要素が強いものが好まれ、ショートドラマも一番伸びます。そのため、「○○チャレンジ」のような企画系コンテンツを集中して出しています。YouTube ショートはTikTokに似ていますが、より長い尺を見てもらえるプラットフォームとして運用しています。

次のページ
「広告感」に敏感な若年層に、メッセージを届ける勝負所とは

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この記事の著者

那波 りよ(ナナミ リヨ)

フリーライター。塾講師・実務翻訳家・広告代理店勤務を経てフリーランスに。 取材・インタビュー記事を中心に関西で活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/08/05 09:00 https://markezine.jp/article/detail/49052

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