GO代表ではなく経営者に。いま三浦氏が思うこと
MarkeZine:せっかくなので、三浦さんの今後のキャリアについても質問させてください。三浦さんのキャリアも新たなフェーズに入ったのではと思うのですが、いまどのような心境ですか?
三浦:正直、どうしてこんなこと(キャリア)になったのか、自分でもよくわからないんですよ(笑)。
MarkeZine:経営者として自分のキャリアをここまで張ると思っていなかった?
三浦:そうですね。子供っぽい言葉になりますが、GOを立ち上げた時は、経営など難しいことは誰かに任せておきたいと思っていましたから。
振り返ってみると、2017年にGOを立ち上げて1年目から5年目までは、ほぼすべての案件をクリエイティブ・ディレクター(CD)として見ているような感じでした。並行して、7年目くらいまでは「GOの三浦」として表に出る機会も多く、GOという会社のCDとPRにも注力していた。そして、2023年の終わりから2024年にかけて経営体制を一新し、当時共同代表をしていたメンバーが卒業したのを機に、会社全体の経営を自分で見るようになりました。ずっとGOの代表ではありましたが、本当の意味で経営者を務めるようになったのはこの2年くらいです。

この2年でわかったのは、経営者とCDを同時にやるのはかなり難しいということ。CDは自分の仕事のクオリティを極限まで高めようと努力しますが、時にそれは労働環境を悪化させることに繋がったり、原価の兼ね合いで判断が難しかったりすることもあります。経営者とCDは、やるべきことが相反しているんです。
ですが、経営も自分でやってみると、やはり学べることがたくさんありました。僕は「広告費、使わなければ純利益」とよく言うのですが、経営に責任を持つようになってから、「広告ありきでない課題解決」の選択肢を頭の中に大前提として入れるようになり、自分たちの仕事のROIにもより敏感になりました。要は、クライアントの気持ちがわかるCDになれたわけです。
反対に、CDとして仕事に向き合うことで、その会社がどういう風に成長していけばよいか、大きな構想を持つことができます。CDとしての経験は経営者としての成長に繋がりますし、経営者としての経験もまたCDとしての自分の成長に繋がるのです。
ただ、やはり同時にやるのは難しいので、この1年は経営に・この1年はCDに軸足を置く、という具合に自分の中でバランスを取りながらやっていきたいと思っています。その意味では、2024年~2025年は経営に軸足を置いている感覚がありますね。
0章が終わり第1章へ。GOはよりフラットで多様なチームに
MarkeZine:最後にGOのこれからについても教えてください。これから、GOの第2章が始まるようなイメージですか?
三浦:ん~、やっと0章が終わり、第1章に入っていくくらいじゃないでしょうか。GOは、いまが一番面白いと思いますよ。フラットな雰囲気ですし、事業会社に限らず色々な団体から相談が舞い込みます。GOを立ち上げた時のあるインタビューで「我々の仕事は、作品をつくることではなく、現象を起こすことだ」という言い方をしていたのですが、これにピンとくる方には、最適な場所だと思います。
MarkeZine:GOのメンバーも、職種を含めこれからもっと多様になっていく?
三浦:そうですね。最近は本当に多種多様な人材が入ってきています。昔、クリエイティブブティックの「デザインバーコード」が採用ページに載せていた一言が最高で。「うちになにが足りないか教えてくれ、そして君たちがそれを補ってくれ」というような言葉が書かれてあったんですよ。まさにそんな気持ちです。バイブスが合う方と一緒に仕事できると嬉しいですね。
「新しいクリエイティブ産業をつくりたい」と宣言している以上、この産業を自分たちだけで独占したいなど思っていません。クリエイティブの力で顧客の事業課題を解決していく、それをクリエイターがリードしていく――そんな事例や考え方が業界全体で増えていくと、とても嬉しいです。