カテゴリー戦略の事例を2つ紹介
続けて、具体的な事例を通じたカテゴリー戦略の実践方法も紹介された。
【BtoB事例】「インテントセールス」の概念を広げたSales Marker
田岡氏が外部顧問を務めるSales Marker社は、コアターゲットをシリーズC以降のスタートアップに定義。「今ニーズがある企業がわからず、新規開拓が非効率である」と顧客が諦めていた課題を解決する「インテントセールス」という言葉と概念を生み出した。
結果、同社はサービスリリース3年でARR35億円まで成長する急成長を遂げている。
【BtoC事例】「骨伝導イヤホン」はイヤホンのトレードオフを解決
骨伝導イヤホンは、「走る時にイヤホンで音楽が聞きたいが、周囲の音が聞こえず危険で不安」というトレードオフに対し「耳を塞がないから安心・快適」という訴求を行い、広がった。また、その価値をイメージとして伝えることも重要だと田岡氏は言う。
「骨伝導イヤホンのShokzは、ランナー向けのコミュニケーションを行ってカテゴリーイメージを定着させたのではないかと考えます。顧客の課題と商品の価値を瞬間的に理解できる訴求の例として、とても良い例です」(田岡氏)
企業目線ではなく、顧客視点で「カテゴリー」を考えてみよう
田岡氏は最後に、カテゴリー戦略についての思いを次のように語った。
「事業成長に悩む方はこの会場にもたくさんいらっしゃると思います。私自身も悩んできましたし、今も悩み続けています。まずは顧客と向き合い、自社の独自価値を見つけ出すことが重要なのは、言うまでもありません。
その上で、その価値を広く浸透させようとした時に、カテゴリーという考え方が重要になってきます。『自分たちは何屋なのか』を、どれだけシンプルに定義できるかで、新しい価値が世の中にいかに浸透するかが変わってくるのです。本セッションを通して、自分たちのカテゴリーについて顧客視点で考えることの重要性を知っていただけたら嬉しいです」(田岡氏)

カテゴリー戦略とは、同じカテゴリーの中で不毛な競争をやめ、新たな価値創造に向かう考え方だ。「カテゴリーづくりは、イノベーションであり、未来をつくることである」と田岡氏が語るように、カテゴリー戦略は世の中を豊かにすることに繋がっていく。