オーガニック製品をとりまく市場変化。男性向け展開なしでも、男性ファンが増加中?
MZ:コスメキッチンをとりまく市場の変化についてもお伺いします。コロナ禍から現在において、大きな動きはありましたか。
清水:コロナ禍には物流が一時的にストップし、海外からの輸入製品が取り扱えなくなってしまいました。コスメキッチンは従来、海外製品にフィーチャーする傾向があったのですが、それが不可能となり結果的に国内製品に再注目するきっかけとなりましたね。現在では、国内メーカー様と協力して企画を考えるケースは多く、開発した製品はお客様からの支持もいただいています。
また、インバウンド需要も現在高まっています。特に多いのはアジアからのお客様。アジアにはまだオーガニック認証が存在しないため、日本で高品質なオーガニック製品を買うことは、一種のステータスにもなっているようです。
MZ:今後もグローバルな広がりが期待できそうですね。加えてここ数年、男性向けコスメ市場も急成長を見せています。コスメキッチンの男性ニーズはいかがですか。
清水:男性からの認知度は年々高まってきており、「コスメキッチンのファンです」と言ってくださるような熱量の高い男性のお客様も増えています。しかし、コスメキッチンは「男性向け」と明確に打ち出した製品を販売しているわけではないことがポイントです。
オーガニック製品はそもそも、ユニセックスなものが多いんです。男女問わず誰でも使えて、家族やパートナーとシェアもできます。最近では、女性のお客様がパートナーのために商品を代理購入するケースも多いですね。
「人としての心地よさ」を追求すれば、コスメにも性別は関係ないといえます。男女ともに、自分や大切な人の健康を気遣って、オーガニック製品を選ぶ人は増えてきています。

「店舗はメディア」人通りの多い場所の出店にこだわる理由
MZ:ここからは、コスメキッチンのマーケティング戦略についてお聞きします。リアル店舗とウェブストアで展開とのことですが、売上比率はどのくらいなのでしょうか。
清水:現在の店舗とウェブストアの比率はおよそ7:3です。コロナ以降、ECの売り上げは倍ほど成長しましたね。
MZ:店舗とウェブストアはそれぞれ、マーケティングにおいてどのような役割を果たしているのでしょうか。
清水:店舗とウェブストアを明確に役割分担するというより、どちらでもお客様が買いやすく、オーガニックな生活を続けやすい環境を用意することが最重要と考えています。
とはいえ、コスメキッチンのマーケティング戦略として特筆すべきは、「店舗=メディア」として位置づけている点です。約70店舗のほとんどが、駅ナカや駅ビル内など多くの人が常に行き交う“ハイトラフィック”な場所に出店しています。
オーガニック製品に特化した店舗を、ここまでハイトラフィックな場所に多数出店しているブランドは唯一無二なのではないでしょうか。仕事帰りにも気軽に立ち寄って手に取れる、買い続けられることこそが、オーガニックコスメを普及させていく上でなにより大切だと考えているため、出店場所には強くこだわってきました。
MZ:通りすがる人々への宣伝や、認知促進効果も高そうですね。
清水:店舗はメディアとしての役割も担い、お客様が商品と出合う場ですので、必ずしもその場で購入してもらう必要はありません。店舗で「触る」「試す」といった接点を作りつつ、気に入った商品はウェブストアで購入いただくようなジャーニーも想定しています。
また、店舗にはスキンケアからオーラルケア、フェムケア、洗剤まで、様々なカテゴリーのオーガニック製品が並びます。「オーガニックのスキンケアが肌に合ったから、ファンデーションもトライしてみよう」「今度はフェムケアもオーガニックに変えてみよう」など、カテゴリーを超えお客様のライフスタイル全体でオーガニック製品を提案できるのも、コスメキッチンの特徴ですね。