AIエージェントで変わる「マーケティングキャンペーン」のライフサイクル
Marketing Cloud Nextでキャンペーンがどう変わるのか。メインキーノートでは、米フォード・モーターの商用車両事業会社Ford Proの協力を得て作成したビジョンデモで、Agentic Marketingの目指す姿の紹介があった。デモは以下の4ステップで展開し、それぞれをAIエージェントがサポートすることが示された。
1. キャンペーンの立ち上げ
通常、キャンペーンの企画から実行までの準備には数週間から数ヵ月を要するが、Agentforce Campaign Creationを利用すると、数時間でキャンペーンの展開準備を終わらせられるように変わるという。まず、キャンペーンの全体像を策定する。続いて、ターゲットセグメントの抽出、メールやSMSのコンテンツ作成、Flowでのカスタマージャーニーの設定を行う。このFlowとは、旧Marketing Cloud時代のJourney Builderに代わって、Marketing Cloud Nextを支えるオーケストレーションエンジンに該当する。一連のプロセスをマーケターはAIエージェントに相談しながら進めることができる。
2. 見込み客とのエンゲージ
冒頭でケルマン氏が述べたように、「Do-Not-Reply」型のメッセージでは、カスタマージャーニーを前に進めることは難しい。Marketing Cloud Nextでは、一方通行で終わっていたコミュニケーションを、AIエージェントのサポートで、双方向のコミュニケーションに変える。Agentforceとの常時接続で、見込み客との対話が文脈に則したものに変わるだけではない。Agentforce Web Curationが、ビジターのコンテキストと行動に応じてレイアウト、メッセージ、推奨内容を動的に最適化してくれるので、Web体験が従来のWebページへのリンクを提供するパーソナライゼーションから、その場での直接的なパーソナライゼーションに変わる。
3. リードの精査
BtoBマーケティング界隈でよく聞く悩みに、「マーケティングが渡したリードを営業がタイムリーにフォローしてくれない」というものがある。24時間365日体制ですべての見込み客に対応できるのは、Agentforceの強みだ。言語の制約もない。Agentforce Lead Generation & Managementを使うことで、人間のマーケターに代わって自動的にリードナーチャリングプログラムを展開し、すべてのリードのスコアリングを行い、スコアに応じてアクションを実行する。見込み客の熱量の高まりに水を差すことなく、スピード感をもっての対応が可能になる。
4. キャンペーンの最適化
マーケターは同時並行で多くのキャンペーンを展開している。本来であれば、1つひとつのパフォーマンスを評価し、途中でのチャネルの変更、より多くのROIが期待できるキャンペーンへの支出増などのアクションを実行したいところだが、現実にはそれが難しい。この状況を変えるのがAgentforceである。Agentforce Paid Media Optimizationは、広告のパフォーマンスを継続的に監視し、パフォーマンスの低い広告の一時停止や、予算配分の見直しを提案してくれる。また、Segment Intelligenceは、最も高いROIをもたらすターゲットオーディエンスを特定し、キャンペーンを微調整することができる。