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Z世代の2人に1人が視聴 キットカット「きっと青春の1ページ」に学ぶZ世代マーケの新定番

 従来型の一方通行な広告や、押しつけがましいメッセージに敏感なZ世代。企業がこれまでの方法でアプローチすることが難しいとされる中、ネスレ日本の「キットカット」は、OASIZとともにTikTok上に「きっと青春の1ページ」を立ち上げ、Z世代の心を掴み、共感と購買を生み出している。これまでの動画の総再生回数は1億回を記録し、Z世代のおよそ2人に1人が視聴した計算に(※)。さらに、地元高校と連携したキャンペーンでは、特定店舗でオフテイクが前年比2倍を記録するなど、ブランド好感度と売上の双方に効果を発揮している。年間を通じた“つながり”を軸にした新しいコミュニケーション戦略(Always onコミュニケーション)は、なぜここまでの成果を生んだのか。ネスレ日本の村岡慎太郎氏、OASIZの江藤優氏にその舞台裏を聞いた。(※TikTok Studioにおけるユニークユーザーベースの数値をもとに推定換算)

Z世代に“従来型の広告”は通用しない?

MarkeZine編集部(以下、MZ):本日は、ネスレ日本がOASIZと実施されたZ世代向けのコミュニケーション戦略についてお話を伺います。まず最初に、ネスレ日本ではZ世代をどのように捉えていらっしゃるのか教えていただけますか?

村岡:Z世代は、これからの日本の消費を担う存在として、私たちにとって非常に重要なお客様だと考えています。今後10年、20年と時が進む中で、消費の中心はZ世代へと移っていきます。だからこそ、「キットカット」をはじめとした当社ブランドに、彼ら彼女らが親しみを持ち、長く寄り添っていただける関係を築くことが、私たちにとって大きなテーマだと捉えています。

ネスレ日本株式会社 コンフェクショナリー事業本部 インツーホーム マーケティング部長 村岡 慎太郎氏
ネスレ日本株式会社 コンフェクショナリー事業本部 インツーホーム マーケティング部長 村岡 慎太郎氏

MZ:OASIZはZ世代に響くコミュニケーションを得意とされていますが、御社のご紹介とZ世代向けの施策を考える際のポイントを教えていただけますか?

江藤:OASIZは、TikTokなど縦型動画に特化した「ネクストジェネレーションカンパニー」です。創業から4年で、これまでに2,700本以上の動画を制作し、総再生回数は15億回を超えています。メンバーの平均年齢は27歳、クリエイティブ制作チームは平均23歳という非常に若い組織で、大企業向けのソリューションを展開しているのが特徴です。

株式会社OASIZ CEO 江藤 優氏
株式会社OASIZ CEO 江藤 優氏

江藤:Z世代は、他の世代とは異なり、テレビCMを通じてブランドを知るのではなく、SNS上で既につながっている人たちから情報を得ています。いわば、従来型の広告手法が届きにくい世代です。

 また、ITリテラシーが高く、他世代よりも広く・深くコンテンツに触れているため、企業からのメッセージにも非常に敏感です。一方的な広告に対してネガティブな印象を持ちやすい一方で、「良い」と思ったものは自分から積極的に発信していくという特徴もあります。

Z世代の「日常」に入り込む Always onコミュニケーション

MZ:「キットカット」は幅広い世代に親しまれている商品ですが、ネスレ日本では現在、どのような戦略で展開されているのでしょうか?特にZ世代へのアプローチについて伺えればと思います。

村岡:キットカットのようなお菓子は衝動買いが多い商品であるため、いかに日常の中で思い出してもらえるか、つまり「想起される機会」を作ることが非常に重要です。多くの菓子メーカーは、3月や9月の棚替えタイミングに合わせてプロモーションを集中させますが、私たちはそれに加え、年間を通じた接点づくりも強化しています。OASIZさんとの取り組みもその一環です。

 たとえば、2003年から継続している「受験生応援キャンペーン」のようなシーズナル施策に加えて、常にユーザーとつながる“Always onコミュニケーション”を掛け合わせることで、ブランドとの接点を日常的に持ち続けてもらうことを意識しています。

 キットカットの主力商品はスーパーマーケットで販売されており、購買者は保護者や塾の先生など、「学生を応援したい方々」が中心です。これまでのコミュニケーションは、そうした大人に向けて行うもので、学生はその先にいる間接的な存在でした。

 一方で、私たちはZ世代の学生にも直接アプローチしたいという思いがあります。ただ、これまでのような一方向的な広告では、彼らには届きづらく、むしろ「押しつけがましい」とネガティブに捉えられてしまうリスクもあります。結果として、ブランドの価値やメッセージがうまく伝わらない——そんな課題を抱えていました。

TikTokで“好き”を育てるIP戦略「きっと青春の1ページ」

MZ:こうした課題に対し、OASIZではどのような提案を行ったのでしょうか?

江藤:村岡さんのおっしゃる通り、Z世代は一方的な広告を嫌う傾向があります。そこで、まずはKDDIの「三太郎」やソフトバンクの「白戸家」のCMシリーズのような、企業を象徴するIPを作ることを提案しました。それが、TikTokアカウント「きっと青春の1ページ」です。

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 「きっと青春の1ページ」では、「部活」や「受験」など、高校生のリアルな悩みや日常を発信しています。こうしたコンテンツをきっかけに、まずは「きっと青春の1ページ」というIPを好きになってもらい、その延長線上にキットカットというブランドがあるという仕掛けを作ったのです。

@kitkat_juken_ みんなは今年の目標決まってる? #pr #キットカット #kitkat #受験 #受験応援 #受験生 #学校#ショートドラマ #短編ドラマ ==これより戦うすべての者たちへ 第2話== [出演] 水瀬紗彩耶(@saaya_minase_ ) 小笠原健(@ogasawaraken) 橘 芳奈 涼乃ひびき(@hi_bk00 ♬ 絶対零度 - なとり

江藤:展開しているコンテンツは大きく分けて、ショートドラマとTikTokのトレンドコンテンツの2軸です。現在、総再生回数は1億回を記録し、Z世代の約2人に1人が視聴したことがある(※)ほどのコンテンツに成長しています。

 また、ドラマのテーマにはZ世代が実際に抱える悩みや日常の出来事を取り入れているため、ユーザー同士の共感ややり取りが活発に生まれています。平均で300~500件、多い時には2,500件ものコメントが寄せられ、コメント欄がまるでコミュニティのような役割を果たしています。

(※)TikTok Studioにおける新規視聴者(ユニークユーザー)ベースの数値をもとに推定換算

“公開を待ち望まれる”企業アカウントへ

村岡:動画のコメントはすべてチェックしているのですが、投稿直後に「1コメ」というコメントがつくことが多いんです。これは、ユーザーが習慣的に動画をチェックしてくれている証拠であり、新作を心待ちにしているという表れでもあります。企業アカウントでZ世代からこれほど熱量の高い反応を得られるコミュニティは、他に見たことがありません。

江藤:「きっと青春の1ページ」では、現役高校生とのコラボ動画も制作しています。ある撮影現場で、キットカットという商品名を出す前に、この企画の認知度を尋ねてみたんです。すると、参加した部員30名のうち、なんと15名が手を挙げてくれました。

 「きっと青春の1ページ」の総再生回数は1億回を記録し、データからはZ世代の2人に1人が視聴したことがあると推定されていました。まさにそのデータ通りの結果が目の前で示され、私自身も非常に嬉しかったですね。

売上にも貢献! 特定店舗で前年比2倍の成果も

MZ:ブランドIPを好きになってもらうという狙いに対し、非常に良い成果が生まれていますね。

村岡:そうですね。加えて、実は部活動応援のプロモーションでは、売上も大きく伸びました。一般的に短期間での成果が難しいとされる「ブランディング」目的の施策にもかかわらず、短期的なセールスにも繋がったんです。例として、福岡の精華女子高校にご出演いただいたTikTokからテレビCM、そして再びTikTokへと展開するキャンペーンでは、特定店舗におけるキットカットのオフテイクが前年比2倍を記録しました。これは、地元の人々が「自分ごと」としてこの取り組みを受け止めてくれた結果の一つだと捉えています。

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MZ:ここまで大きなインパクトを生み出せた要因はどこにあるとお考えですか?

村岡:大きな理由の一つとして、Z世代への深い知見とショートドラマ制作の経験が豊富なOASIZさんに、全面的にお任せした点が挙げられます。

 今回のプロジェクトでは、ブランドとして「何を伝えたいか」という基本的なメッセージのみを伝え、クリエイティブに関してはほぼOASIZさんに一任しました。これは、細部まで自社でコントロールしようとすると、どうしても従来の広告のようなZ世代に響かないものができてしまう、という考えがあったからです。

江藤:OASIZはメンバー自体もZ世代なので気持ちがわかることに加え、現役クリエイター(インフルエンサー)と協業している体制にも強みがあります。

 私はインフルエンサーの本質的価値は影響力ではなく、その影響力を作ってきたクリエイティビティだと考えています。そのためクリエイターにプロジェクトに参画してもらい、動画制作のアイデアや助言をもらうことを大事にしています。毎日投稿している彼らは、今ユーザーが何を望んでいるかをとてもよく理解しているため、最適なコミュニケーションが考えられるのです。

Z世代に「長く愛される」ブランドを目指して

MZ:最後に、今後の展望や展開について教えてください。

村岡:私としてもキットカットとしても、まだまだZ世代の方々に寄り添い切れていないと思います。次の日本を背負う方々に対して、キットカットブランドを好きになっていただくためにやるべきことがまだまだたくさんあります。今後も年間を通じた取り組みを続け、店頭デジタルサイネージとの連動など、新たなチャレンジをしていきたいと考えています。

江藤:2つあります。1つはキットカットを「好き」から「愛される」ブランドへと成長させることです。長期的に思い続けてもらえるIPにしたいと考えています。

 2つ目は、誰もが驚くような事例を作ることです。たとえば「動画を投稿した翌日に、街のお店からキットカットが消えた」と言われるくらいヒットさせるなど、インパクトのある事例を作れたら最高ですね。まずはZ世代で一番有名なブランドIPを目指し、広告が通用しにくいと言われるZ世代に対してもこのやり方なら通用するよということを、胸を張って言えるようになりたいです。

Z世代へのブランドマーケティングに課題を感じている方におすすめ!

OASIZは、ショート動画SNS×ブランドマーケティングの掛け算で、商品やブランドのメッセージを共感と熱量で広げるクリエイティブを生み出します。TVCMでは届きにくくなった若年層(Z世代)に向けて、SNS上でブランドの世界観をストーリーとして伝え、好意形成や購買行動につなげることが、私たちの強みです。本記事で興味を持たれた方は、ぜひOASIZ公式サイトよりご相談ください。

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社OASIZ

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2025/07/29 10:00 https://markezine.jp/article/detail/49472