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「これ、何味?」──プリングルスが仕掛けたTikTok×味推理、“語らせる体験”の作り方

単なる味予測ではない。プリングルスが仕掛けた“体験”のストーリー

 この事例における主役は、商品ではなく“体験”である。

 消費者は、味を推理し、コメントし、SNSで人とつながることで「語る権利」を得る。そして最後に“正解”が発表されることで、参加の物語が完結する。

 ブランドは、あえて答えを出さず、答え合わせまでをプロセスとして設計し、「SNSでの会話そのものを商品価値に変換する」ことに成功した。

 このような双方向的な商品設計は、もはやプロダクトの開発にとどまらず、コミュニティ体験の創出に近い。

画像を説明するテキストなくても可
TikTok上で盛り上がった“味推理” 出典:TikTok

ミステリーがマーケティングになる時代

 味覚体験すらソーシャル空間に最適化する必要がある。では、日本企業はこのようなトレンドをどのように応用できるだろうか。

 第一に、「味を語らせる仕掛け」をプロダクト設計段階に組み込むこと。すなわち、“正解のない味”を用意し、消費者が「これ何味?」と自然に発信・拡散したくなる余白を残す。あらかじめブランドがすべてを説明しない勇気が求められる。

 第二に、TikTokやXなどSNS上の生活者投稿を“研究開発のインスピレーション源”として正式に組み込む体制が必要である。社内マーケティング部門ではなく、R&D・商品企画の人材がトレンド観察を担当することで、プロダクト起点でのSNS反応設計が可能になる。

 第三に、ミステリーフレーバーのような“参加体験型”商品を短期SKUや季節限定として導入する開発スキームを常備しておくこと。これにより、柔軟に企画を実現できる。大量生産前提の体制ではなく、まず“語られる商品”を生む実験ラインを社内に持つことが、今後ますます重要になる。

 今、消費者は味を「選ぶ」のではなく「一緒に作り、語る」時代を生きているのかもしれない。

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この記事の著者

岡 徳之(オカ ノリユキ)

編集者・ライター。東京、シンガポール、オランダの3拠点で編集プロダクション「Livit」を運営。各国のライター、カメラマンと連携し、海外のビジネス・テクノロジー・マーケティング情報を日本の読者に届ける。企業のオウンドメディアの企画・運営にも携わる。

●ウェブサイト「Livit」

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/08/05 08:00 https://markezine.jp/article/detail/49532

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