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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

MarkeZine Day 2025 Autumn

脱・数字だけのCRM、定性データとAIで顧客の感情を捉えペルソナを作るエーアンドエスの挑戦

顧客の“インサイト”を求めて、多角的な定性アンケートの開始

 顧客インサイトの探求に向け、飯塚氏がまず着手したのが、これまでのCRMでは取得してこなかった「定性データ」の収集だ。アンケート調査によって、顧客の多角的な人物像を浮かび上がらせることを試みた。

 まず初めに、顧客のカスタマージャーニーに沿う形で、現在の顧客とブランドのリレーションを深堀するアンケートを設計。これらの定性データと、既存の購買データなどの定量データやNPSなどを掛け合わせることで、顧客像は徐々に解像度を増していった。しかし、ここで新たな課題が生まれた。

分析結果が伝わらない、データ活用の次なる課題

 飯塚氏は、収集した膨大なデータを組み合わせ、「キードライバー分析」や「ギャップ分析」といった高度な分析ダッシュボードを構築、回帰分析等も活用し、NPSのスコアを上げることでの売上効果の可視化を実施。全社でデータを共有し、顧客理解を深めようとした。しかし、その複雑さゆえに「他のメンバーは理解できない」というフィードバックを受けたという。

 ファッションビジネスは、根幹に感性や直感が求められる領域だ。緻密なグラフや数字の羅列は、マーケターにとっては示唆に富むものであっても、デザイナーやMD担当者には直感的な理解が難しい場合もある。データが豊富になるほど、解釈と共有の難易度は上がっていく。この壁に直面した時の心境を、飯塚氏はこう語る。

 「この時、率直に『失敗した』と感じました。数値とグラフだけでは、このデータの価値は社内に伝わらない。それならば、この複雑なデータに“顔”を与え、誰もが直感的に理解できる形にできないか。そこで『AIを使ってペルソナを可視化しよう』と決意したのです」(飯塚氏)

株式会社エーアンドエス マーケティング課 課長 飯塚 泰輔氏の画像です
 ペルソナを可視化するために新たに設計した設問は、ジュエリーに関する直接的なものだけではない。「ファッションにかける金額」といった情報に加え、「趣味は何か」「アルコールはどのくらいの頻度で飲むか」といったライフスタイルに関するものまで多岐にわたった。たとえば、「趣味がドライブ」と回答した人には、「一人で運転するのが好きか、複数人か」「好きな行き先は海か、山か」といった設問を用意し、顧客の価値観を深掘りしていった。

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AIで顧客を“可視化”する、Geminiを活用したペルソナダッシュボードの構築

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2025/11/11 08:00 https://markezine.jp/article/detail/49557

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