「SNSで話題」はどのようにして生まれるのか?
「SNSで話題」の起源を探るため、直近10年間で「SNSで話題」という投稿がX上でどれくらい発信されていたかを調査しました。
Xでの話題量の比較を参照すると投稿数は年々増加傾向にあり、特にコスメやスキンケア、日用品に関する話題が多いことがわかりました。また直近では企業のPR施策が「SNSで話題」といった文脈も見受けられ、SNSの話題化に対し企業も注力をしている様子がうかがえます。

そこで今回は、再現性のある仕組みを調査すべく、ある韓国コスメブランドのリップティントについて、「SNSで話題」になるまでの流れを分析しました。投稿を分析すると、3段階の動きが見えてきました。
投稿が拡散されるまでの3ステップ
STEP1:インフルエンサーによる発信の切り抜き
YouTubeやInstagramなどで影響力を持つ美容系インフルエンサーが、商品を「おすすめ」として発信します。さらに、実用性や効果を語る様子が切り抜かれ、Xなど別のプラットフォームにも投稿されます。
STEP 2:共感・使用実感の投稿による「バズ」の発生
インフルエンサーの投稿に共感したユーザーが、「(インフルエンサー)愛用のこれ、めちゃくちゃいい!」といった使用実感の投稿をします。この投稿が最初の起爆剤となり、いわゆる「万バズ」が生まれるケースになります。
STEP 3:さらなる引用リポストによる拡散
STEP2の投稿に重ねるように、別のユーザーが自分なりのおすすめポイントを引用リポストで語る投稿が増えていきます。

今回の調査では、引用リポストされた投稿が、元の投稿(STEP1のオーガニック投稿)よりも拡散されるケースが複数見られました。これは、「一般ユーザーも含め、複数の人からの“リアルなクチコミとしての”お墨付き感」が生まれることにより、共感の輪が広がりやすいからだと考えられます。そして、この引用リポストによる拡散が進んだ段階以降、投稿に「SNSで話題」という言葉が多く使われるようになりました。
話題化につながる上で重要なポイントは、単なる引用リポストではなく、「商品詳細がわかりやすいこと」と「リアルなクチコミとして確かと思えるお墨付きがあること」が両立している点になります。
また、Xプラットフォームにおいて、タイムラインのおすすめ機能によりフォロワー外の人にも投稿が届きやすくなったことで、より届けたい人に届くような仕組みになっていることも「万バズ」が起きやすい状況を後押しする要因の一つと考えられます。
「SNSで話題」が生まれるのは、「共感と拡散」の連鎖によるものであることがわかりました。次のページでは、プラットフォームルールの変化を踏まえた上で、企業が実践すべきSNS投稿のポイントについて考察します。