プロモーション施策の効果検証から顧客解像度の向上まで
MZ:お取り組みの状況はいかがでしょう。
白坂(森永乳業):今年の7月からIDの連携キャンペーンを開始し、現在は東急ストアのレシート告知を通じて連携者を募っている段階です。森永乳業の商品購入者に限定せず、東急ストアを利用いただく幅広い層の方々に参加いただけるよう設計しました。9月末でID連携キャンペーンを終了し、10月から本格的な配信・検証フェーズに入る予定です。

長谷川(森永乳業):検証では、LINE配信が実購買に与える影響を明確にするため、連携いただいたお客様を配信グループと非配信グループに分けて比較分析を行います。当社の商品も嗜好品から健康系まで幅広いので、複数回にわたって異なる商品での検証を実施し、より精度の高いデータを収集していく計画です。
MZ:今回の取り組みで、期待されていることは何でしょうか。
長谷川(森永乳業):最も期待しているのは、LINE配信によって実際の購買量が増加することです。ただ、自社商品だけが売れても長続きしませんので、小売店全体での売り上げ向上に貢献できることが重要だと考えます。
将来的には、顧客の購買行動の変化を継続的に追跡することで、より深い分析が可能になります。いつ・どのようなきっかけで購買パターンが変化したのかなどメーカー視点で分析し、結果を東急ストアにもフィードバックすることで、双方に価値あるインサイトを共有できる関係を築いていければと考えています。
白坂(森永乳業):私も自社商品のデータだけでなく、東急ストアでの購買行動全体が見えることに期待しています。ID連携と分析によって、お客様が普段どのような商品を購入しているのか、どんなライフスタイルを持っているのかが可視化できます。「森永乳業の公式LINEアカウントの友だちは具体的にこういう方々である」と解像度を上げ、今後のマーケティング施策に活用していきたいです。
配信直後だけでなく「継続購買」まで追跡可能に!
MZ:データコネクティングサービスの特徴を教えてください。
片桐(グローリー):メーカーとリテールという異なる企業のデータをIDベースで連携する仕組みは、現時点で他にはないと認識しています。従来のサービスでは、たとえばLINE配信後の購買者数で瞬間的な効果は把握できても、その後も継続的に購買されているかは不明なままでした。

2021年グローリーに入社し、DX分野の新規事業開発や新サービス企画を担当する部門の部長を務める。前職では共通ポイント事業に長年携わっており、データ活用を追求してきた経験を活かし、データコネクティングサービスの企画からリリースまで手がけた。
片桐(グローリー):データコネクティングサービスの最大の強みは、この「継続性」を追跡できる点にあります。具体的には、カテゴリー全体の購買金額と自社商品のシェアを基に顧客を分類し、施策前後でどのような変化が起きたかを継続的に分析します。

片桐(グローリー):今回の取り組みについても、連携された会員の行動可視化の準備を進めた上で、仮説通りの効果が得られたのかを検証します。「お買い上げ金額は上がったけれど、カテゴリー内での森永乳業製品のシェアは上がらなかった」のか「お買い上げ金額も上がって、シェアも上がった」のかなど、会員ベースで継続的に追いかけていく形です。