組織変革を加速させる3段階サイクル「DataPractice」
DACが推進する変革活動の中核を成すのが、DDM(データドリブンマネジメント)の成熟度向上を目指す人材・組織変革プログラムの総称「DataPractice」だ。このプログラムは、「1.意識を変える」「2.行動を促す」「3.輪を拡げる」という3つのフェーズをサイクルとして循環させ、社員一人ひとりの変革を促す仕組みとなっている。
フェーズ1:意識を変える『Insight Carving』
最初のステップは、経営シミュレーションワークショップ『Insight Carving』を通じて、データドリブン経営の重要性を体感していくことだ。参加者はチームで仮想企業を経営し、刻々と更新されるデータに基づいた意思決定を迫られる。このプログラムは社長や経営層から展開がスタートし、2025年度末までにはミドルマネジメント層の2,000名以上が体験する予定だ。
「データドリブン経営とは一体何なのか、というシンプルですが本質をついた問いに答えるために展開したプログラムです。刻々と最新化されるデータをもとに、チームで意思決定を行っていきます。参加者は、戦略を共有すること、コミュニケーション、自らの責任で即断すること、共通のファクトを持つこと、データ品質といったことの重要性を体感できるようになっています」(浅村氏)
フェーズ2:行動を促す『exLens』
次に、意識変革を具体的なアクションに繋げるのが、組織のDDM成熟度を可視化するアセスメントツール『exLens』だ。このツールは、各種サーベイ回答やデジタルツールの利用ログなどを組み合わせることで、自組織の現在地を客観的に把握し、次の行動計画の策定へ繋げていく。
フェーズ3:輪を拡げる『DDM Award』
サイクルの最終段階では、全社イベント『DDM Award』を通じて、生まれた成功事例を全社に共有し、変革の輪を拡げていく。優れた成果を上げた個人や組織の挑戦をストーリーとして表彰・称賛することで、変革への機運をさらに高める駆動力としているのだ。
その熱量の高まりは参加者数にも表れている。「個人部門ではデータ分析コンペを実施し、2022年度に98名だった参加者が、2024年度には680名にまで増加しています。組織部門では実践事例コンペとして、AI活用、データ活用、効率化、業務変革のテーマで取り組みを紹介しており、2024年度には51事例がエントリーされました」(浅村氏)
現場で花開くDDMの実践成果
DataPracticeの展開は、具体的なビジネス成果として各事業部門で結実し始めている。浅村氏はその中でも、特にBtoBマーケティングと営業の現場で生まれた象徴的な事例を2つ紹介した。
グローバルマーケティング部門:部門間の壁を越えたKPI設計
グローバルマーケティング部門では、セールス部門への貢献度が不明瞭という長年の課題を抱えていた。
「これまでマーケティングとセールスの活動連携が弱く、マーケティングが受注や売上、パイプライン生成にどの程度貢献しているか、具体的な貢献度が見えづらい課題がありました」(浅村氏)
この課題を解決するため、同部門は受注目標から逆算して必要なKPIを算出する「逆算型ファネルモデル」を構築。ポイントは、経営・セールス・マーケティングの三者が共同で、全社標準のデータセットと基準係数を用いて客観的な目標設定を行ったことだ。結果として、部門間の信頼関係が向上し、データに基づいた施策改善のサイクルが回り始めている。
セールス部門:「誰に、何を」をデータで導き商談確度413%増
セールス部門では、マスマーケット攻略において「誰に、何を提案すべきか」という、営業活動の根幹に関わる課題があった。そこで同部門は、基盤と人の両側面からアプローチ。まず、社内に分散していた顧客情報や商談情報などを集約し、巨大なマーケットデータベースを構築した。しかし、それだけでは終わらない。「作った基盤を使う『人』に着目した浸透施策」として、データ登録ガイドブックの作成やハンズオンセミナーを徹底し、現場での定着を促した。
「『誰に、何を提案すべきか』という課題に対し、基盤整備と活用浸透定着の両側面からアプローチしました。各部門が保有するデータの共通利用を進めることで、獲得につながりやすい商談が爆発的に増えました」(浅村氏)
この現場主体の活動の結果、契約につながる高確度の商談割合は前年比で413%増という飛躍的な成果を達成。「やみくもな拡販活動から脱却し、オファリング良質化に成功した」と浅村氏はその成果を語った。
