6.ブランドアクションのお手本、バリュエンス「エルメス・バーキン」を14.7憶で落札
山田:もう1つ、三浦さんから印象的な事例をご紹介いただけますか?
三浦:少し変わり種ですが、リユース事業「なんぼや」などを展開するバリュエンスグループが、エルメスのオリジナルプロトタイプのバーキンを14.7億円で落札した事例です。広告枠を買ったわけではありませんが、結果的に大きな広告効果を生みました。
福里:ニュースにも大きく取り上げられていましたね。
三浦:はい。すごいのは、高額落札を単なる話題作りではなく、「世界で最もバーキンを高値で買い取る企業」というメッセージに結びつけた点です。露出効果だけでも20億円規模と言われ、さらに「ブランド品を売るならなんぼやへ」という認知強化につながりました。これはまさにブランドアクション。企業が行動を通してブランドを示した好例だと思います。

福里:なるほど。昔、ゴッホの『ひまわり』を買った会社の話が賛否両論あったのを思い出しますが、これは事業と直結しているからこそ、広告効果がすぐに形になります。
三浦:その通りです。やはり批判的な声もありましたが、それに対して社長がすぐに「循環型社会をつくるための取り組み」という声明を出し、誤解を解いていたのも見事でした。ニュース対応も含めて、一連のブランディングがよくできていると感じます。
結果を出す、遊びも忘れない「だから広告は面白い」
福里:ということで、ここまで一通り紹介してきましたが、三浦さんいかがでしたか?
三浦:広告って、やっぱり面白いなと。僕は、大きな課題を解決する行動を「広告」だと思っていますが、そこにメディアを掛け合わせ、さらに広げていくのも「広告」の役割です。
仕事の領域をどれだけ広く定義できるかで、その人の人生のサイズも変わってくると思います。マーケターを「ROIを上げる人」と狭く捉えるのか、「企業や社会の成長を背負う人」と広く定義するのかで、楽しさも未来も大きく変わる。だからこそ広告やマーケティングに関わる皆さんには、思い切り視野を広げて楽しんでもらえたらと思います。

山田:では、最後に本日の「ウヒョー!ポイント」をまとめます。話を聞いていて共通していたのは、広告主もクリエイターも、根っこには「楽しいからやっている」という気持ちがあるということでした。もちろん批判や炎上を心配する場面もありますが、遊び心を持ちながら結果を出すことこそが、ファンや生活者に伝わっていくのだと思います。
福里:批判や炎上を恐れるのではなく、楽しみながら結果を出す――広告はそういうものだと思います。今日のセッションの様子は、広告ウヒョー!のYouTubeチャンネルでも配信しますので、皆さんぜひご視聴ください。