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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

MarkeZine Day 2025 Autumn

データ活用の「型」を決め愚直に続ける。Jリーグの躍進を支える顧客起点マーケティング

 2024シーズンにリーグ戦史上最多の入場者数を記録し、クラブ売上高も過去最高を更新するなど躍進を続けるJリーグ。その背景には、「9segs」フレームワークを基底とした戦略・戦術がある。顧客の解像度をいかに上げ、どのような施策につなげているのか。MarkeZineDay 2025 Autumn ではJリーグの竹渕祥平氏と小森誠之氏が登壇。モデレーター飯髙悠太氏とともにデータ活用と顧客理解をキーワードに議論を展開した。

入場者数を更新したJリーグのマーケティング戦略

飯髙:Jリーグは2024年に公式試合の年間総入場者数を更新されています。どのような戦略で何をしているのでしょうか?

Jリーグ入場者数の推移
Jリーグ入場者数の推移

竹渕:おっしゃるとおり、1993年のJリーグスタート以来の史上最多入場者数を達成することができました。コロナの影響を経て数年かけてリカバリーしつつ、史上最多を達成した経緯です。

公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ) 事業マーケティング本部 マーケティング部 部長 (兼) クラブサポート本部 クラブサポート 2部 竹渕 祥平氏
公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ) 事業マーケティング本部 マーケティング部 部長 (兼) クラブサポート本部 クラブサポート 2部 竹渕 祥平氏

 Jリーグのマーケティングは「9segs」※を活用して、ファン・サポーターをいくつかのポジションに分けながら、そこに合わせて施策を組んでいます。私は2024年にJリーグにジョインしたのですが、一番驚いたのは、ベーシックな顧客カテゴリー分類やその打ち手を愚直にやり続けていることでした。

※9segs:包括的な顧客データを定量化し、9つの主要な顧客セグメントに分解、分析するマーケティング手法。

「誰に・何を・何のために届けるか」を愚直に考える

飯髙:9segsを使っている理由は何でしょうか?

竹渕:Jリーグは来場頻度が高いか低いでセグメントすると、あまりデモグラフィック的な特徴が出ないのです。これはマーケティング的には非常に難しい課題です。ただ、ある意味では老若男女いろいろな方がファン・サポーターになっていただいていますし、なってもらえる可能性があるということです。そこで9segsを用いて「来場頻度」と「関心」で、シンプルに区分けをすることにしました(下図)。

 9つのカテゴリーの中で、右下のJリーグを知っているが観戦経験がない「観戦・認知未利用層」から、だんだん左上のピラミッドの階段を上がれるように、マーケティング施策を組んでいるところです。セグメント分析に加えて、N=1でのデプス調査を行っています。どこに関心のフックがあるかも調査し、各セグメントのどこに、何を届けるかを掛け算しながら愚直にマーケティングをしているのがここ数年の方針です。

小森:たとえば、クラブによってファンクラブの位置づけが違っているのですが、アップセルを狙うためのファンクラブなのか、認知関心を高めていくファンクラブなのかが9segsを思い浮かべることで明確になります。これができることで「9segsのこの層に向けて、こういう商品設計をしよう」とクラブ自身も考えられるようになりました。

公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ) 事業マーケティング本部 マーケティング部 小森 誠之氏
公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ) 事業マーケティング本部 マーケティング部 小森 誠之氏

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10年かけて構築したデータ基盤とクラブ横断のCRM活用

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/11/04 08:00 https://markezine.jp/article/detail/49921

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