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ロッテがLINEの購買寄与や他施策との連動を可視化!「SynWA project」で挑んだ3つの分析

 LINEヤフーと国内電通グループが2025年6月に提供開始した共同分析プロジェクト「SynWA project」。両社とクライアント企業のデータを連携させ、統合的な分析ソリューションを提供するこのプロジェクトでは、具体的にどのようなことが実行可能なのだろうか。本記事では、ロッテがこのプロジェクトを活用した取り組みについてインタビューを実施。どのようなデータを使ってどういった設計で分析を行い、何を明らかにしたのか、詳しく話を聞いた。

ロッテのマーケティング戦略の中核の一つとなるLINE

MarkeZine編集部(以下、MZ):はじめに、ロッテのマーケティング戦略の全体像をご説明ください。

佐藤(ロッテ):当社では、「ロッテ」のブランドと商品への信頼と愛着を持ち続けてもらい、ブランドのファンであり続けてもらうこと、つまりLTV向上を目指しています。

 戦略の中核の一つがLINE公式アカウントです。他のSNSが幅広いリーチに適している一方で、LINEは顧客との関係性を深めることに優れているためです。LINEを単なる情報発信チャネルではなく、ブランドと顧客をつなぐ重要な接点として定義し、顧客との関係性を深化させています。

 具体的には、「心理ロイヤル(メッセージの開封率・友だち数・クリック率などのエンゲージメント指標)」と「行動ロイヤル(キャンペーンや体験施策への参加、購買行動)」を両輪とし、生活者との関係性を段階的に深めていくコミュニケーションを設計しています。

株式会社ロッテ マーケティング本部コミュニケーションデザイン部 メディア企画課 佐藤美帆氏ロッテのLINE公式アカウントの運用・分析や、デジタル広告のプランニングなどを担当する。
株式会社ロッテ マーケティング本部コミュニケーションデザイン部 メディア企画課 佐藤 美帆氏
ロッテのLINE公式アカウントの運用・分析や、デジタル広告のプランニングなどを担当する。

購買への影響が可視化できない──ロッテが抱えていたLINE公式アカウント運用の課題

MZ:電通デジタルは2025年4月から、ロッテのLINEを活用したマーケティングを支援する取り組みを開始したとうかがっています。

森(電通デジタル):ロッテ様は、LINEを主要なコミュニケーションチャネルの一つとして長年にわたって運用されてきました。これまでも、友だち数の拡大やメッセージの開封率・クリック率といったエンゲージメント指標の向上は継続的な分析をされていた一方、運用成果の把握にとどまり、横断的なデータ分析に課題を感じられていました。

 特に「どの層が実際の購買に結びついているのか」「テレビCMなど他の施策と連動した際にどのような相乗効果が生まれているのか」のような購買行動との接続や他メディアとの関連性、エンゲージメント指標の先にある「購買・継続・ファン化」といった行動への波及効果についても、可視化できていない状態だったのです。

 こうした「LINEの購買寄与や他施策との連動効果を可視化したい」という背景から、データドリブンな分析を通じて、よりロッテ様のLINE公式アカウントの友だちにマッチした配信内容や体験設計を実現することを提案しました。アカウントの詳細な分析を進めていく中で、あらためてLINEが顧客育成において重要なチャネルであることを実感しましたね。

株式会社電通デジタル ソーシャルエンゲージメント部門LINEプランニング部 森美樹氏LINEのプロダクトを横断した提案やキャンペーンプランニング、デジタル体験設計を担当。ロッテのLINE公式アカウント運用では、通常の配信に加えて友だち集客施策や分析、キャンペーン企画を主導し、全体推進を担う。
株式会社電通デジタル ソーシャルエンゲージメント部門 LINEプランニング部 森 美樹氏
LINEのプロダクトを横断した提案やキャンペーンプランニング、デジタル体験設計を担当。ロッテのLINE公式アカウント運用では、通常の配信に加えて友だち集客施策や分析、キャンペーン企画を主導し、全体推進を担う。

森(電通デジタル):私たち国内電通グループとしても、LINEは日常的にブランドや商品の世界観・価値をユーザーに届け、愛着や親和性を育むコミュニケーションツールであると捉えています。LINE公式アカウントの活用においては、「心理ロイヤル」を高めるだけでなく、「行動ロイヤル」までつなげられれば、LTVの向上や長期的なブランドファンの形成に大きく貢献できると考えます。

 特にロッテ様のLINE公式アカウントの友だちには、“ロッテ愛”が深いファンが多数いらっしゃいます。この特性を踏まえ、既に愛着が深いコアファンに対してはさらなる購買意欲を喚起してより頻繁に食べたくなる施策、比較的ライトな関係性の層に対してはロッテブランドへの愛着が深まる施策を実施することで、段階的なアプローチが可能です。

分断された分析環境をつなぐ「SynWA project」とは?

MZ:課題に対し、具体的にどのような取り組みをしたのでしょうか。

森(電通デジタル):今回の取り組みでは、商品を5つの戦略的カテゴリー「ガム」「チョコ情緒系」「子供と一緒に」「アイス機能系」「アイス情緒系」に分類し、それぞれのコンテンツへの顧客の反応や購買傾向を詳細に分析。各カテゴリー内の商品についても同様の基準で評価を行いました。

 また、開封率やクリック率といったエンゲージメント指標に加え、実際の購買への影響やテレビCMとの連動性をKPIとして設定・検証しました。

 こうしたアプローチにより、「どのような属性のユーザーが、どの商品カテゴリーを購入しているのか」という購買行動の全体像を可視化できました。従来見えていなかったユーザーセグメントと商品カテゴリーの関係性が明確になり、より精緻なマーケティング戦略の立案が可能となったのです。

小林(電通デジタル):分析・検証においては、LINEヤフーと国内電通グループの共同分析プロジェクト「SynWA(しんわ) projectを活用しました。

 これまで推進してきた旧LINEのデータソリューション群「LINE DATA SOLUTION(LDH)」と旧ヤフーの分析プロジェクト「HAKONIWA」に次いで、LINE、ヤフー、国内電通グループのデータを活用した分析により、クライアント様が求める深い顧客理解と幅広い打ち手を実現するため「SynWA project」はスタートしました。

 主な特徴として、各プラットフォームの強みと、広告主様やパートナー企業様、国内電通グループの保有データを組み合わせることが可能です。必要に応じて企業が保有する1st Party データや電通グループの多様なデータを掛け合わせることで、より解像度の高い分析を実現します。分析で得られた顧客像を基に、マーケティング施策の立案から広告配信に向けた設計まで実行できます。分断されていた分析環境をつなぎ、潜在層アプローチからLTV向上までフルファネルでのコミットが可能です。

 ロッテ様とのお取り組みは「SynWA project」の先進的な事例という意味でも、大きな意義がありました。

株式会社電通デジタル プラットフォーム部門 プラットフォーム2部 小林大剛氏プラットフォーマーとの連携を主務とするプラットフォーマー部門でLINEヤフーを担当する。2024年から「HAKONIWA」をメインで担当した後、「SynWA project」の立ち上げメンバーとして参画。
株式会社電通デジタル プラットフォーム部門 プラットフォーム2部 小林 大剛氏
プラットフォーマーとの連携を主務とするプラットフォーマー部門でLINEヤフーを担当する。2024年から「HAKONIWA」をメインで担当した後、「SynWA project」の立ち上げメンバーとして参画。

ロッテ×国内電通グループが取り組んだ3つの分析。何が明らかになったのか

MZ:「SynWA project」は2025年6月に正式提供がスタートされたということで、以前MarkeZineでプロジェクトの全体像を取材しました。今回はその実践事例ということですね。

赤澤(電通):そうですね。ここからは「SynWA project」を活用した、具体的な分析内容について説明します。今回は3種類の分析を実施しました。

(1)STADIA(※)データと購買データを活用した分析

※STADIA:テレビの実視聴データを用いたオンライン・オフラインの統合マーケティング基盤

赤澤(電通):ロッテ様の分析を実施するにあたり、「SynWA project」と非常に相性の良い案件だと感じました。ロッテ様はフルファネルでLTV向上を目指すコミュニケーションを展開されており、テレビCMという上流のコミュニケーションとLINE公式アカウントという顧客に寄り添ったコミュニケーションを一貫して実施されています。「SynWA project」は、お客様との同意が取得できている範囲で、これらのデータを連携・分析できることが大きな強みです。

 さらに、購買データを活用し、ロッテ様がコミュニケーションを取られている顧客の購買行動を把握しLTV向上に寄与しているかを検証できます。

 今回は「クーリッシュ」のテレビCMデータを分析し、テレビCMに接触した方とLINE公式アカウントでメッセージを開封・クリックした方を掛け合わせて分析しました。その結果、テレビCMも視聴し、かつLINE公式アカウントのメッセージ開封者である方の購買率が最も高いことが判明しました。単発の施策だけでなく、両方の施策のシナジー効果を可視化することができたのです。

株式会社電通 データ・テクノロジーセンター プラットフォーマーデータ2部 シニア・アナリスト 赤澤新之介氏電通のデータ・テクノロジーセンターでアナリストとしてプラットフォーマーデータを活用した分析に従事し、「SynWA project」の立ち上げメンバーとして参画。LINE公式アカウントの友だちデータや広告の分析などを手掛ける。
株式会社電通 データ・テクノロジーセンター プラットフォーマーデータ2部 シニア・アナリスト 赤澤 新之介氏
電通のデータ・テクノロジーセンターでアナリストとしてプラットフォーマーデータを活用した分析に従事し、「SynWA project」の立ち上げメンバーとして参画。LINE公式アカウントの友だちデータや、広告の分析などを手掛けている。

(2)メッセージ配信と購買データを活用した分析

赤澤(電通):また、LINE公式アカウントのメッセージ開封回数とクリック回数を分析した結果、開封回数やクリック回数が多い方ほど購買率が高いことが明らかになりました。

 「メッセージ配信をどう捉えるべきか」「どのような成果につながっているのか」と悩まれる企業も少なくないと思います。今回、購買データを組み合わせることで、実際に開封・クリックした方がその後購買行動に移っていることが証明されました。さらに、何度も開封やクリックを行う、つまりロッテブランドの深いファンである方々ほど購買率が高いことも判明しました。

これまで把握できなかった購買への影響を可視化!

(3)ターゲット・メッセージの提案や改善(ゼロ次分析)

赤澤(電通):3つ目は次の施策につなげるゼロ次分析です。購買者を見ると、女性25〜44歳が中心で、特に既婚・子持ち層が多い傾向が明らかになりました。また、LINE配信の開封数やクリック数が増加すると購買率も上昇する傾向が確認され、配信内容への関心の深さが購買行動に直結していることが示唆されました。

 今回の分析で購買する顧客の属性を把握できたため、Yahoo! JAPANのデータを活用した興味関心軸でのセグメント配信やクリエイティブ展開を強化していく予定です。購買顧客の関心や特性に合わせた配信を行うことで、効果的なPDCAサイクルを回し、より精度の高いターゲティングと施策の最適化が可能になります。

 加えて、LTVの観点では顧客に継続的に購入いただくことが重要です。次のステップとして、継続購買を促進するための検証と実施をロッテ様と協力して進めていくことを目指します。このことは、佐藤様が冒頭で話された「ブランドや商品への愛着を醸成する」ことにつながるでしょう。

MZ:今回の分析結果を受け、ロッテとしてどのようにお考えですか。

佐藤(ロッテ):これまで把握できなかった「どのようなユーザーがどういった行動(購買含む)を取っているか」を可視化できたことは、大きな成果だと考えます。LINEでのつながりの深さが購買にも影響していることがデータで裏付けられた点も、非常に意義深いと感じています。また、LINEがブランドファンとの関係構築や購買喚起に効果的なチャネルであることと、エンゲージメントの高さが購買行動に影響していることを再認識しました。

「SynWA project」で目指す、顧客コミュニケーション

MZ:最後に、今後の展望をお聞かせください。

佐藤(ロッテ):一人ひとりの興味関心や行動に応じた、よりパーソナライズされたコミュニケーション設計を通じて、さらに深い顧客体験を創出していきたいと考えています。その実現のためには、データ分析に基づいた戦略設計や施策提案が不可欠です。

 国内電通グループ様および「SynWA project」には、分析に基づいた戦略設計や施策提案を通じて、ブランドと顧客の関係をより強固にする取り組みのサポートを期待しています。今後も、最適な顧客コミュニケーションの実現に向けて、ともにチャレンジを続けていきたいです。

森(電通デジタル):国内電通グループとして、LINE公式アカウントを軸に友だち属性や行動データと外部データを統合して購買につながるファン層の可視化を実現し、施策設計や配信の最適化を支援してまいります。これにより、認知から購買、さらにはLTV向上までを見据えた、戦略的かつ継続的なコミュニケーション施策を提案していきます。

 また、体験コンテンツといった要素も含めた統合分析にもチャレンジしていきたいですね。今後も、データドリブンなアプローチでロッテ様のマーケティング活動を総合的にサポートしていきたいと考えています。

小林(電通デジタル):「SynWA project」は立ち上げ段階だからこそ、「こういうことはできるのか?」といった発想に柔軟な対応が可能です。マーケターの皆様からご意見やご要望をいただき、プロジェクトを発展させていきたいと思います。

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社電通デジタル

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2026/02/04 11:00 https://markezine.jp/article/detail/50012