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MarkeZine Day 2026 Spring

電通グループが掲げる「CX-Connect」から紐解く、顧客とつながり続けるために大切なこと(AD)

LINEミニアプリ利用者数1位!「ジョージア」に学ぶ顧客とつながるパーソナライズドコミュニケーション

 多様なデータを正しく分析し、顧客一人ひとりに合わせたブランドコミュニケーションを実現するにはどうすればよいのか。dentsu Japan(国内電通グループ)が掲げる「CX-Connect」を体現する事例を紹介していく本連載、今回は「パーソナライズドコミュニケーション」をテーマに、日本コカ·コーラのコーヒーブランド「ジョージア」のLINE公式アカウント施策についてインタビュー。プロジェクトを担当した電通の田中氏、電通デジタルの土屋氏、電通プロモーションプラスの藤田氏に、パーソナライズドコミュニケーションの設計戦略やデータ活用のポイントをうかがい、ユーザーとつながり続けるLINE運用の秘訣を探った。

購買と“ブランドラブ”をどう両立すればよいのか

MarkeZine編集部(以下、MZ):顧客との質の高いコミュニケーションの実現は、ブランドにとって長く大きなテーマです。dentsu Japanとして様々なブランドの支援をする中で、昨今はどのような悩みを抱える企業が多いと感じていますか。

田中:ブランド認知の接点やタイミングが複雑化しているため、それを購買にどうつなげるかが課題になっています。一方で、販促を強化すると、ブランドのメッセージを伝えることが難しくなりがちです。この購買と“ブランドラブ(顧客のブランドへの愛着や好意度)”を両立させることが大きな課題です。

 そのカギとなるのがパーソナライズドコミュニケーションです。しかし、マーケティング施策を設計する際に、「誰に」「何を」というポイントが曖昧なまま進めているケースも実は少なくありません。

株式会社電通 第1マーケティング局 エンゲージメントコンサルティング部 シニア・マーケティングコンサルタント 田中紀美恵氏
株式会社電通 第1マーケティング局 エンゲージメントコンサルティング部
シニア・マーケティングコンサルタント 田中紀美恵氏

土屋:ユーザーの行動データを把握できる環境が整ってきた中、「どのデータをどのように使うのか」という戦略の組み立て方が課題になっています。分析ツールも数多くありますが、それらの違いを理解するための情報や知見が十分でないと悩む企業も少なくありません。

 パーソナライズドコミュニケーションを実現するためには、一人ひとりのユーザーを深く知ろうとすること、ユーザーがつながり続けたいと思える関係性を作ることが、データ活用における重要なポイントとなります。

藤田:「お客様とつながる施策」を求める企業が増えています。田中の指摘にもあったように、販促を目的としたプロモーション施策であっても、“オトクな訴求”だけでなく、ブランドとして伝えたいメッセージも訴求することが求められています。売り上げにつながるかどうかと、ブランドメッセージの最適なバランスの実現が大きな課題です。

MZ:そのような課題に対応するためには、どうすればよいのでしょうか。

田中:ハード面から考えるのではなく、まずは目標を明確にして施策に落とし込むことが必要です。この後お話しするプロジェクトも、LINE公式アカウントの立ち上げを起点にしたわけではありません。目標を実現するために必要な手段を考え、その結果、LINEを用いた施策を設計しました。

「毎日をハッピーにする」ジョージアのLINEを活用したコミュニケーション

MZ:今回の取材では、日本コカ·コーラの展開するコーヒーブランド「ジョージア」の取り組みについてうかがっていきます。

田中:取り組みでは、ジョージアブランドとしては、「ココロとカラダが自分のペースで前向きになる。」というコンセプトが出発点。LINEは、そこをベースに「一人ひとりに合った、毎日のちょっとしたハッピーをお届けする」目的で、LINE公式アカウントの施策を設計しました。2025年2月にLINE公式アカウントを開設し、毎週月曜の朝にクーポンを配信しています。

 ただクーポンを配布するのではなく、嬉しい気持ちを感じられるその人に合ったメッセージを一緒にお届けしています。「コーヒーを飲みながら、1日をハッピーに過ごしてほしい」という思いを込めています。

 加えて、ブランドアンバサダーであるAdoさんのコンテンツもユーザー体験の観点で作り込みました。Adoさん公式のLINEスタンプの他、ユーザーの気分に合わせたプレイリストやメッセージなどのコンテンツを配信。ジョージアのLINE公式アカウント上でありながらAdoさんのアイコンからメッセージが送られてくるギミックなど、細かい部分まで「体験」を大切に設計しました。

MZ:Adoさんを起用した理由をお聞かせください。

土屋:ジョージアブランドではより幅広い層、特に若いお客様を増やしていきたい課題がありました。そこでブランドの象徴として、若年層の認知が高く、変幻自在な7色の歌声を持ち「一人ひとりの自分らしくいたいニーズ」にチューニングすることができるAdoさんを起用したコミュニケーションを開始することとなりました。

株式会社電通デジタル マーケティングコミュニケーション領域 第1アカウントプランニング部門 第1事業部 第3グループ シニアアカウントプランナー 土屋賢哉氏
株式会社電通デジタル マーケティングコミュニケーション領域 第1アカウントプランニング部門 第1事業部 第3グループ
シニアアカウントプランナー 土屋賢哉氏

MZ:メッセージとクーポンを毎週月曜の朝に配信する狙いもお教えいただけますか。

藤田:ペットボトルコーヒーは、持ち歩いたりデスクの横に置いたりしながら何度かに分けてゆっくり飲めることが魅力です。朝に購入いただき、1日のお供にしてもらいたい。前向きな気持ちで1日を過ごせるように、背中を押す存在になりたい。そのリズムを一週間の最初の月曜日に作りたい。そんな思いを込めた設計にしています。

動的に変化するユーザーデータをとらえ、より深いつながりの実現へ

MZ:本取り組みについて、データ活用設計の面も教えてください。

田中:「多くの人にクーポンを使ってもらい、前向きな気持ちになってもらいたい」という共通目標のもと、電通、電通デジタル、電通プロモーションプラスの各チームで複合的にデータ分析を進めました。

 流入経路や「いつメッセージを開封したのか」「コンテンツをどこまで体験したのか」といったLINE内の行動など、顧客理解のためのデータは豊富にあります。また、購買時間・場所や、併売商品など、プロモーション活動による購買データも得られます。複数のチームで動くと、これらの多様なデータを各自で収集・分析する形になり、チーム間で分断されてしまいがちです。そのため「データをどう見るか」の目線を合わせ連携することを意識しました。

土屋:データは、収集・分析して結果が出たらそこで終わりではなく、その後どのような手を打つかが重要です。そして、忘れがちなのが、ユーザーは「動的」であること、つまり状態が変化していく点です。ですから、キャンペーンの実施前後で行動データは変わる可能性があります。パーソナライズドコミュニケーションを実現するためには、その時々でユーザーの状況を理解して、適切なコミュニケーションを都度考え実行していくことが必要です。

 そのために、細かい周期でユーザーの状態を把握するシートを作成し、運用しました。シートを確認しながら、各チームでどのような打ち手が必要なのか判断し、具体的な施策につなげています。

藤田:たとえば、デモグラの観点だけでなくユーザーがどの程度習慣的に購買しているかを把握することで、強化したいターゲットを都度明確化しています。そのユーザーに向けてパーソナルなメッセージを配信することで、ジョージアを楽しんでいただく機会をより増やすことを目指しました。

株式会社電通プロモーションプラス 第2ビジネスディベロップメント事業部 アカウント7部 藤田理子氏
株式会社電通プロモーションプラス 第2ビジネスディベロップメント事業部 アカウント7部 藤田理子氏

ユーザーに合わせたコンテンツを効果的な形で届ける体験設計を

MZ:ブランド体験を設計する上で、意識したことはありますか。

田中:誰から、どんな内容でメッセージを送るのか。この2つを意識して設計しましたね。例として、AdoさんのLINEスタンプ取得をきっかけに流入したユーザーに対しては、Adoさん自身によるメッセージコンテンツの配信を増やしました。この層にとっては「Adoさんからメッセージが来ること」を最も重要な体験と捉えて、共感価値を高めることを重視しました。

土屋:150万人超のデータをIDで識別し、それぞれに最適なメッセージとクーポンを配信する作業は非常にハードでしたが、パーソナライズドコミュニケーションを実現するために欠かせませんでした。

 さらにクリエイティブも、「どのようなユーザーに何を発信するか」によって変わります。Adoさんのファンであれば、Adoさんのイラストをあしらった方が喜ばれますよね。一方、お得な情報に反応するユーザーに対しては、クーポンのメリットがより伝わりやすい表現を心掛けました。このように毎週クリエイティブを出し分けつつ、A/Bテストでさらに効果的なものを検証し続けています。

LINEミニアプリの利用者数7ヵ月連続トップに!毎週の配信でもブロックされない関係を構築

MZ:この取り組みで、どのような成果がありましたか。

田中:クーポンはLINE公式アカウントから遷移するLINEミニアプリを使用しているのですが、そのLINEミニアプリの利用者数ランキングでは、7ヵ月連続でトップを維持しています(日次累計DAUカウント/2025年10月時点)。多数のLINEミニアプリがリリースされている中でのこの結果は、ユーザーに毎週LINEからメッセージを送ってもブロックされない関係性を築けたことの表れと考えています。

田中:一般的に、LINE公式アカウントを立ち上げても、「ブロックされてはいけない」とメッセージの頻度をなかなか増やせない企業も多いです。毎週クーポンを配布することを最優先にして取り組み、パーソナライズされたコンテンツも含めて、ユーザーに嬉しいと感じていただけるコミュニケーションを実現できているのでは、と感じますね。

藤田:ジョージアのファンと直接つながれたことも大きな成果です。一般的には、購買データからペルソナを作ってアプローチする方法もありますが、今回はリアルのファン一人ひとりとLINEを通じてつながり、ダイレクトに反応を確認できる状態を作れました。この設計は、他の施策にも転用できると思います。

グループ内連携でデータの価値を向上し、ユーザーとつながり続ける

MZ:成果につながったポイントについてどうお考えですか。

田中:ユーザー目線でのLINEは「ブランドから一方的に発信する、販促キャンペーンに使いやすいSNS」ではなく、日々使うコミュニケーションツールです。本取り組みは、その前提を忘れずに運用できました。

 また、電通、電通デジタル、電通プロモーションプラスのチームメンバー全員が各社の強みを理解し、役割を明確にして取り組みました。今後も、ユーザーに喜ばれるコミュニケーションを意識して取り組んでいきたいです。

土屋:つながり続けたいと思ってもらえるLINE公式アカウントを作れた背景には、ユーザー一人ひとりのデータ分析と、それに基づいた戦略や施策の設計がありました。電通デジタルのユーザーIDの分析に、電通のマーケティング戦略視点や電通プロモーションプラスの購買データ分析を組み合わせることで、データの価値をさらに高められました。各社の専門性を発揮し、シナジーを生み出せたことが大きかったのではないでしょうか。

藤田:ユーザーにブロックされることを恐れず、つながり続けようとすることは重要です。ダイレクトにつながっているからこそ、個々のユーザーにとって有益な情報やその伝え方が明確になります。dentsu Japanで連携してPDCAを回しながら、戦略を立てて実行できたことが成果につながったのかなと思いますね。

MZ:今後、さらに取り組みたいことはありますか。

土屋:AIを活用した課題解決です。大量のクリエイティブが必要な施策では、やはり制作コストが課題になります。現在、LINEにおいてもAIによるクリエイティブやテキストメッセージの作成にチャレンジしており、少しずつ成果も出ています。AIの価値を発揮できる領域として、今後の提案に組み込んでいければと考えています。

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この記事の著者

加納 由希絵(カノウ ユキエ)

フリーランスのライター、校正者。

地方紙の経済記者、ビジネス系ニュースサイトの記者・編集者を経て独立。主な領域はビジネス系。特に関心があるのは地域ビジネス、まちづくりなど。著書に『奇跡は段ボールの中に ~岐阜・柳ケ瀬で生まれたゆるキャラ「やなな」の物語~』(中部経済新聞社×ZENSHIN)がある。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社電通コーポレートワン

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2025/12/22 11:00 https://markezine.jp/article/detail/50065