チャレンジ1:広告接触と購買の関係
1つ目のチャレンジは、テレビCMやデジタル広告が実際の購買にどのように結びついているのかを検証する取り組みだ。人流データと購買データの連携・分析基盤を提供するunerryと協力し、「堅あげポテト」のキャンペーンを対象に、コネクテッドTVの視聴データ、位置情報、ID-POSデータを組み合わせて分析を行った。
「どの広告が一番効くのか、どのブランドに何を流せばいいのか。メーカーとして答えを持っていなかった積年の課題です」(松永氏)
対象者は、過去1年の購買履歴から「既存顧客」と「新規・低頻度顧客」に分類し、広告接触パターンごとの購買率を比較した。仮説は「メディアを重ねれば重ねるほど効果は大きくなる」というものだった。
しかし、結果は予想とは異なる結果だった。既存顧客の場合、来店者購買率を比較したところテレビCM・デジタル広告ともに広告接触があるほうが、購買率は低い結果となった。
一方新規顧客の場合、テレビCM・デジタル広告への接触と購入率の関係を確認すると、広告接触による大幅な購買率増加が確認された。しかし、テレビCMとデジタル広告の両方に接触した層よりも、デジタル広告のみに接触した層の方が購買率の伸びが大きかったという。
「検証方法が正しいと仮定した際、なぜデジタル広告のみ接触した場合が、最も購買率が伸びたのかを考えました」(松永氏)
この結果について、松永氏は「情報のニュース性」という観点から仮説を立てた。
「普段その商品を買っていない方には、同じ広告でも“初めて知ること”として届く。届き方がまったく違うのではないかと」(松永氏)
また、デジタル広告単体の方がテレビCMとの重複接触より効果が高かった点については、「限定的な接触の方が、情報として印象に残りやすいのかもしれない」と松永氏は推測する。
チャレンジ2:機械学習によるターゲティング
2つ目は、店頭での購買を後押しするためのターゲティング施策である。機械学習を自動化するAIプラットフォーム「DataRobot」を用い、ポテトチップス未購入者に対する事前クーポン配布の精度向上を試みた。
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従来の手法での購入率は、約3%にとどまっていた。機械学習モデルでは、性別や年代といった属性情報よりも、「購入カテゴリー数」「購入金額」「来店店舗」といった行動データの寄与度が高いことが示された。松永氏は次のように述べる。
「特定の商品を多く買っている人よりも、さまざまなカテゴリーを買い回っているお客様の方が、クーポンに反応しやすい傾向がありました。店舗との関係性が深いお客様ほど、新しい提案も受け入れてもらいやすいのだと思います」
この手法により、クーポン利用率は従来比で約6倍に向上した。一方で、モデル作成時点と施策実行時点のタイムラグが精度に影響する点も課題として挙げられ、今後はより短いサイクルでの運用が検討されている。
