チャレンジ3:シリアルの購買に天候がどう関係するか
3つ目は、シリアルカテゴリーを対象にした天候データの分析である。DataRobotを用いて、気温や日射量と購買数量の関係を検証した。
その結果、売上に強く影響していたのは「日射量」と「最高気温」だった。シリアルは、雨天時には販売数量が落ちやすく、また気温が約20℃前後で増加するものの、約35℃前後を超えると減少に転じる傾向が確認された。
松永氏は、この背景について次のように説明する。
「猛暑日や雨の日は、できるだけ荷物を減らしたいと考える方も多いと思います。シリアルはかさばる商品なので、買い物環境そのものが購買判断に影響している可能性があります」(松永氏)
天候は需要の有無だけでなく、「持ち帰りやすさ」という観点でも購買行動に関係していることが示された。
「お客様には『買いたいタイミング』『商品を手に取って幸せな気分になれるタイミング』があり、それに合わせた提案が次の良い購買体験につながるのではないでしょうか」と松永氏は語る。
カルビーが考えるリテールDXの方向性
講演の最後に、松永氏はカルビーが考えるリテールDXの方向性について触れた。
それは、単なるデータのデジタル化ではなく、ID-POSや外部データを活用しながら顧客の状況や文脈を理解し、その理解を小売と共有しながら売り場でのアクションにつなげていくことだという。
「メーカーが一方的に施策を持ち込むのではなく、売り場を起点に『どうすればお客様の買い物がしやすくなるか』を一緒に考える。その積み重ねが、結果として双方にとっての価値になると考えています」(松永氏)
今回紹介された取り組みは、すべてが完成形というわけではない。検証を通じて見えてきた示唆をもとに、仮説を検証し続けている段階だという。
商品を主語にするのではなく、顧客の行動や状況から発想する。その姿勢が、メーカーと小売の協業をより実践的なものにしていく。カルビーの取り組みは、購買データ活用を検討するマーケターにとって、多くの示唆を与える内容だった。
