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実務者が選ぶマーケティング本大賞のお知らせ

【受賞対談】田岡凌×木下勝寿:AI時代を勝ち抜くには?二人が重視する「顧客理解/実行力/人材育成」

「顧客理解」こそ再現性のあるマーケティングスキルである

田岡:ブランドマーケティングとWebマーケティングの断絶は、私も現場でよく感じることがあります。実際に、それぞれの立場の方が、各々の狭義のマーケティングの枠組みを出られず、すれ違いの議論になっている状況によく直面します。私は両方のマーケティングをやってきた人間として、マーケティングの本質は深い部分では変わらないと考えています。

 木下さんはこれまで7冊の書籍で、様々な角度からマーケティング論を説かれています。究極的な質問になってしまうのですが、そんな木下さんが伝えたい、マーケティングで最も重要だと考えることは何でしょうか?

木下:顧客理解です、結局は顧客理解が8割だと思います。

 マーケターにおいては「業種や業界」「手法」に精通していることが、評価される節がありますが、私はそこに再現性があるとはあまり思えません。マーケティングは体系的に行うものであり、その体系的な理論や知見は業種業界を問わず通用するものです。ですから、大元となる顧客理解こそ重要であると考えます。

田岡:私もBtoC、BtoB問わず様々な業種・商材を扱いますが、「顧客を理解する」という基本は変わらないと実感しています。そして「顧客理解」には、お客様の一次情報に触れ続けることが大切だと考えています。顧客理解を深める上で「お客様に会う」ことの重要性について、木下さんはどのようにお考えですか?

木下:弊社はWebマーケティングが中心ですから、必ずしも「リアル=対面」はあまり重要ではないんですよ。Webマーケティングの現場はパソコン上、スマホ上です。対面インタビューでの回答と、Web上での行動が異なるケースは多々あります。お客様と画面を共有しながら「こういうときは、どうしますか?」と行動を確認するほうが、対面で話を聞くよりも、リアルな情報が得られます。

プロの経営者は「顧客目線」から離れない

田岡:なるほど、それは盲点でした。たしかにWebマーケティングの現場では、Web上での行動が大切になってきますね。常に現場がどこかを捉えながら、その一次情報を掴み続けることが求められます。

 経営層やCMOになるとどうしても顧客から離れてしまいがちです。木下さんは、経営者として「顧客理解」にどのように向き合っていますか?

木下:私は、自分が会社の中で最もお客様視点を持っていると思っています。というのも、多くの人は「素人の目線や感覚」を次第に忘れてしまうんですよね。たとえば、「医薬部外品」という言葉がありますが、一般の消費者は医薬部外品と医薬品の違いなんてよくわかりません。入社する前は自分も知らなかったはずなのに、仕事に慣れてくると、そういった用語をよく考えずに使うようになってしまいます。

 私は「初めて見た人でもわかるか?」という視点をずっと持ち続けています。これを「プロの素人目線」と呼んでいるのですが、私に限らず、いわゆるプロ経営者と呼ばれる方々はみんな「プロの素人目線」を持っている。プロ経営者がやっているのは、結局「お客様の目線で事業を見直す」という非常にシンプルなことなんですよね。

田岡:顧客理解を深められるかは、自社のビジネスに対して、いかにオーナーシップの意識を持っているかも関係してきそうです。現場のメンバーにも、ビジネスに対するオーナーシップの意識があれば、お客様に恥ずかしいことをしていないか・間違ったことをしていないかを気にするようになり、自然とお客様目線になっていくように思います。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2025/12/05 08:00 https://markezine.jp/article/detail/50162

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