ファイントゥデイ事例:マーケ×営業の双方にプラスの施策
ブランドの売上は、メンタル・アベイラビリティ(ブランド想起のされやすさ)と、フィジカル・アベイラビリティ(物理的に手に入りやすい状態か)の2つの総量で決まるとされている。一般的にはマーケティング部門がメンタル・アベイラビリティを、営業部門がフィジカル・アベイラビリティを、という分担がなされているが、1つの施策で両方伸ばすことができたらそれがベストだろう。

松居氏が次に紹介したのは、リテールメディアを上手く活用することで、メンタル(想起率)×フィジカル(配荷率)の双方に貢献した、ファイントゥデイのヘアケアブランド「+tmr(プラストゥモロー)」での事例である。
「+tmr」は、タンパク質に着目した処方でハイダメージヘアをケアする商品。ヘアケアカテゴリーはブランドが多数存在しており、店頭でのビジビリティ(視認性)確保が非常に困難という課題を抱えていた。
元々、ドン・キホーテは「ブリーチ・カラー剤に強い」という特徴がある。ドン・キホーテのブリーチ・カラー剤売り場をベンチマークにする企業がいるほどだ。また、実は「ドン・キホーテ=多様な髪色の従業員が働く場」という生活者認知もある。そこで、商品特性×ドン・キホーテの特長×顧客特性を掛け合わせ、ドン・キホーテが「+tmr」の魅力を伝える最適な場になるよう設計した。
・コミュニケーション開発:「みんなが自由な髪色で働いている」というリテール(ドンキ)の特性を活かし、「ブリーチやカラーリングを思い切り楽しみながら働くことができる店舗スタッフの視点」から商品の魅力を発信。
・クリエイティブ制作とメディア露出:ドン・キホーテの有志従業員100名に出演してもらい、「カラーもブリーチも!明日の髪をド自由に。」をテーマとしたキービジュアルを制作。これをドンキ公式SNS、棚メディア、UGC型投稿など、pHmediaのリテールメディアにのせて展開。
この施策は、「リテールの好意度をも上げる施策」となり、企画趣旨について各エリアのバイヤーから高い評価を得た。結果として、ブランドを担ぐ意味が生まれ、店頭の棚取導入率や特殊什器の導入率が上昇(フィジカル・アベイラビリティ)。陳列面が増えることでブランド・商品の優位性伝達が進み、メンタルアベイラビリティ向上にも繋がるという、好循環が生まれた。
ファイントゥデイ社も、「+tmr」ブランド単体では生み出せない新たな価値を生み出せたこと、pHmediaでしかできない施策を実施しドン・キホーテの企業ブランディングにも寄与できたことを評価しているそうだ。
