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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2026 Spring

MarkeZine Day 2025 Retail

3社の事例から学ぶリテールメディアの可能性、ドンキだから実現する「ワクワクとデータドリブン」の両立

ロート製薬事例:購買データを活用し、顧客理解を深化

 リテールメディアの根源的な価値として、「購買データの活用」がある。広告が本当に購買に寄与したのか、実際のデータを用いて検証できるわけだ。pHmediaは広告の効果検証からさらに一歩進み、顧客理解の深化にリテールデータを活用する試みを行っている。3つ目に松居氏が紹介した、ロート製薬の事例を見ていこう。

 ロート製薬のスキンケアブランド「Calamee(カラミー)」は、Z世代の肌悩みで上位にあがる「テカリ・皮脂」を軽減する商品だが、ブランドの届けたい提供価値がターゲットに伝わらず苦戦していた。ブランドの価値を再定義する目的で、ドン・キホーテの購買データと買い場を活用し、「需要発掘/探索型のテストマーケティング」を行うことになったという。

 具体的なプロジェクトフローはこうだ。

1. 提供価値の探索:POS/IDPOSデータから、Calamee購入者の傾向を分析。ソーシャルリスニングやターゲットヒアリングも組み合わせてターゲットインサイトを深掘りし、提供価値として有効な仮説を絞り込んでいく。

2.表現・切り口の開発:絞り込んだ提供価値の仮説から、訴求の方向性を開発。

3.店頭でのABテスト:2で開発した訴求ポイントがターゲットに響くのか、実際の店頭で検証。2つの訴求ポイントを、それぞれドン・キホーテ5店舗(計10店舗)でテスト。

4.事後分析:実際に商品を購入したZ世代に、N1インタビューを実施。購入者の特徴をより深く分析

 実際には、Calamee購入者の約40%がロート製薬ブランドのファン、約10%が韓国のダーマコスメ購入者で占められていることが、購買データの分析から判明。そこで、この2層以外にターゲットを定め、インサイトの分析を行った。分析の結果をもとに、「毛穴対策スキンケア」「ニキビ対策スキンケア」という2つの訴求ポイントを開発し、ドン・キホーテ主要10店舗の各カテゴリに設置されているサイネージ付きのエンド棚「ドンPUSH」でABテストを実施したという。

「ドンキPUSH」を活用したABテストの展開イメージ
「ドンPUSH」を活用したABテストの展開イメージ

 テストの結果、「毛穴対策」で訴求した棚は、ベンチマークにした施策と比較して、売上が15%アップした。一方、「ニキビ対策」で訴求した棚は売上が振るわなかったという。松居氏は「ニキビ対策の棚は、毛穴対策の棚よりも注目率は高かったですが、売上は振るわないという面白いデータを得ることができました。店頭でいかにコミュニケーションするか、リアルマーケティングの難しさを再認識する結果でもありました」と話す。

 また、このプロジェクトで得られた示唆を新商品にも活かし、ドン・キホーテでの展開規模や取り組みの内容をさらに拡張しているそうだ。

単なる「広告メディア」ではない、リテールメディアの可能性

 pHmediaの事例から、リテールメディアは、メーカー企業の「ブランディング」「マーケティング」「営業(店頭実現)」といった様々な課題やニーズに合わせて柔軟な設計が可能であることがわかる。リテールメディアは単なる広告媒体ではなく、マーケティングの課題解決の手段となり得るわけだ。

 「業界では、未だに“バズトレンド”のようにリテールメディアが語られている節がありますが、私はリテールメディア=お客様と商品が出会う場を作るものであると考えています。PPIHだけでなく、他の小売企業様にも、その小売にしかない魅力や特徴、体験価値があり、それがきっとリテールメディアに反映されているはずです。pHmediaは、競合の小売企業様とも連携し、切磋琢磨しながら、このリテールメディアという市場を盛り上げていくことで、メーカー企業様への還元価値を拡張していきます」(松居氏)

 生活者のニーズが分散し、マスメディア一発で商品が動く時代ではないからこそ、購買データを活用し、ターゲットが商品を手に取る瞬間にアプローチできるリテールメディアの重要性が高まっている。MarkeZine Day 2025 Retailでの松居氏の講演は、単に出稿するだけでない、ブランディングにもマーケティングにも寄与するリテールメディア活用の視点を学べるものだった。

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/12/22 09:00 https://markezine.jp/article/detail/50182

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