日本のマーケターが取り組むべき「夜時間帯」戦略
以上の事例から、日本のマーケターが特に検討すべきポイントは三つある。
第一に、夜の“時間帯ポジショニング”を再設計すること。食品、飲料、アパレル、ヘルスケアなど、多くのカテゴリーで「夜向け」価値提案は未開拓だ。Night Cheeseのように、生活者の夜間行動に寄り添う形でプロダクト文脈を作ることは、差別化の起点になる。
第二に、夜間体験とデジタルを連動させること。Nikeが示したように、リアルイベントで生まれた熱量をアプリで継続させる二層構造は、同質化しやすい夜イベントに“継続性”を生む。日本でも夜の回遊イベントや商店街施策で応用できる仕組みである。
第三に、夜を“媒体”として再評価すること。MorrisonsのOOHが示したように、夜の光と影はクリエイティブの訴求力を昼以上に高める。冬も夏も、夜の視覚的インパクトをどうブランド表現に取り込むかが鍵になる。
欧州では、夜が“制限すべき時間”ではなく、“価値を生む時間”として再解釈されている。企業は夜の行動データ・都市文脈・心理的高揚を組み合わせ、夜を前提としたマーケティング戦略を拡張し始めている。
Nike、Bega、Morrisonsの事例はそれぞれ、「夜のアクティビティ」「夜の食」「夜のメディア」という異なる軸で夜の価値を掘り起こし、ブランドの世界観・販売機会・体験接点を更新している。
日本でも冬のイルミネーション期だけではなく、夏の夜間消費を含めて、夜の街をどうデザインするかが、今後のブランド戦略を左右するテーマになっていくだろう。
